
第3章 ~夏がはじまる!~彼が急接近☆★☆

何だか寝付けなくなってしまった奈帆は、飲み物を取りに食堂へ向かった。
中にはいると藤堂さんが
「おやすみになれませんか?」
柔らかい言葉で話し掛けてくる。
「何だか寝付けなくて。。。」
そう言うと藤堂さんは水を奈帆に渡しながら
「何か暖かいものをご用意しますね。」
そう言いながら奥へ入って行く。
渇いた喉を潤す奈帆。すると奥から声だけが聞こえた。
「何かございましたか?」
透き通る声に奈帆は何だか素直になる。
「本当の雅也さんて。。。どっちなのかな?って。。。」
考えていたことがすんなり出る。
飲み物を持って奈帆の向かい側に腰を下ろすと、ティーカップにハーブティーを注ぎながら
「奈帆様にはお話しした方がよろしいみたいですね。少しお話しよろしいですか?」
奈帆は小さく頷くと、藤堂さんは話し始めた。
「私は雅也様が小さな頃から使えております。雅也様にはお兄様がいて、今は大学でオーストラリアにおられます。。。
小学校に上がられた雅也様はお友達のお誕生会にお呼ばれされまして。私がお迎えに上がると雅也様は『どうして家には誕生日にパパとママはいないの?どうしていつもいないの?』と私にたずねられました。しかし、私には何も言えず。。。お兄様にもお話ししておられたみたいなんですが、そこから雅也様は自分の気持ちに蓋をするようになられ、素直な言葉は無くなりました。しかしお兄様が居た頃は少しずつ話すようになられましたが、1年ほどまえからお兄様が居なくなり。。。また蓋をするように。。。」
寂しげな藤堂さんの声が部屋に響いた。
「そうだったんですね。。。」
ハーブティーを見つめながら奈帆は考えていた。
(さっきのが本音。。。?)
すると藤堂さんは
「前に雅也様がおっしゃっていました。まるで自分を見てるような人が学校におられると。。。多分、奈帆様の事ですね。」
目を細めながら微笑む藤堂さん。
奈帆は藤堂さんの言葉と雅也の言葉が頭を駆け巡る。
そして奈帆は
「雅也さんの朝の練習は何時からですか?」
とっさに奈帆は聞いていた。
「5時30分頃かと思います。」
そう言うと
「そろそろお身体が冷えますので、おやすみ下さい。」と丁寧に頭を下げた藤堂さん。
奈帆はヘッドに入り
(前に言われたなぁ。。。自分と同じだって。。。)
奈帆は思い出しながら深い眠りに入っていった。。。
