第3章 ~夏がはじまる!~彼が急接近☆★☆
珍しく雅也はジャージのままで、何時もと雰囲気が変わっていた。
朝の場所まで歩きながら、
「今日の夜話あるから。待ってろ。」
いつに無く冷たい声に奈帆は困惑した。
家に着き慣れないフォークとナイフの食事。
前を見ると雅也は絵になる程の綺麗な食べ方だった。
(やっぱりおぼっちゃまなんだな。。。)
奈帆が雅也をじっと見ていると、
「そんなに見んじゃねーよ!食べにくいだろ。。。」
雅也は少し照れながら目を伏せたまま言った。
その言葉にハッとなり奈帆は急いで食べ部屋に戻った。
お風呂に入りスッキリはしたものの、雅也の言葉『話あるから。』と一弥先輩の昼休みの寂しげな顔が交互に浮かんできた。
「一弥先輩って用事だったのかな?」
思わず言葉に出てしまったその時、
「さぁねー?身に覚えあるんじゃねーの?」
何故かドアの前に雅也が立っている。
「な、なんで入ってきてるの!ノックぐらいしてもいいんじゃ。。。」
段々弱くなる声に雅也は
「そんなに一弥先輩が気になってんの?」
ちょっと怒り気味の言葉だった。
「そーじゃないんだけど。。。」
俯く奈帆に雅也が近寄る。
後退りしそうになった奈帆を抱き寄せ、
「この1週間だけ。。。俺を見ろよ。。。」
今までとまるっきり違う雅也の弱々しい声。
奈帆は動けずにいた。
「ちゃんと見てから決めてくれよ。いつもオマエ。。。一弥先輩ばかり考えて。。。俺の気持ちも知らねーで。。。」
何がなんだか分からない。
こんな事を言ってくるなんて思いもよらなかった奈帆は何も言えなかった。
ふわっと抱きしめた雅也の手が離れ、
「また明日。おやすみ。」
それだけ言ってドアの閉まる音がした。
雅也は部屋を出るなりしゃがみこみ
「何言ってんだよ。。。俺。。。」
ポツリとつぶやいて頭を抱えた。