第1章 ~春~入学と出会い
「体育館って普通は1階だょね!」
急ぎ足で降りてきたものの全く場所がわからずウロウロ。。。
ちょうど朝ボードが置かれていた所を過ぎようとしていた時。。。
「やべぇ!遅刻!遅刻!」
と1人の男子生徒が入ってきた。
するとその男子生徒は奈帆を見るなり
「あれ?新入生?遅刻すっぞ!」
と奈帆の手を掴んで引っ張っていった。
全く訳がわからず男子生徒の引っ張られるがまま体育館への通路に差し掛かった時、新入生か並んでいるのが見えた!
1人の男子が
「一弥先輩!おはようです!一弥先輩とまた一緒したくて入学しました!」
と慣れ親しんだよぅに会話を始めた男子。
「おー!あれからまた成長したのを見るのが楽しみだなー!」なんて無邪気な笑顔の一弥先輩。
しかし奈帆は
「あのっ!手!!離して下さい!」
手を掴まれたままの状態が奈帆にはイライラした。
「おっ!ゴメンなー!って間に合ったから良かったじゃん!」
キラキラと眩しい笑顔に何も言えず奈帆はクラスメイトの所へ向かった。
入学式の最後に部活の紹介がある。
(さすが。。。スポーツで有名な高校だなぁ。。。)
と奈帆がステージを見ていると、アナウンスで「次は野球部お願いします!」
出てきた生徒に唖然。。。
さっき手を掴まれた一弥先輩が出てきた!
(野球部だったから手がゴツゴツしてたんだ!)
奈帆の恋愛経験は全く無く、男子と手を繋いだのも数回しかない。
掴まれた感触の残る手を握りしめて紹介に耳を傾ける。
「えー…野球部はキツいんで、根性のある奴を希望します。あとマネージャーも。以上!」
大きな声で短い紹介、さわめいていた体育館が静まり返った。
「奈帆はマネージャーやる?私迷ってるんだよね~」
とめぐは楽しげに話す。
(マネージャーかぁ。。。)
これからマネージャー争奪戦が起こる事も知らず奈帆はただ一弥先輩を見ていた。