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私はSですが?何か?①

第2章 ~夏が待てない~気持ちも気温も上昇中


集合場所に近くなったとき、道は更に険しくなる。
痛みに耐えきれず奈帆は立ち止まった。
すると支えていた手が離れ奈帆の前にしゃがんだ。
「乗れよ。」
低い声が響く。
「いい。。。歩く。」
痛い足を引きずりながら歩こうとしたとき。
奈帆はフワリと抱き上げられた。
「降りる!歩ける!」
奈帆は身体をジタバタさせる。
「つべこべ言うな。文句言う暇あんなら掴まっとけ。」
至近距離で初めて見る雅也の真剣な顔。
整った顔立ち、額の汗。。。
何も言えなくなり、奈帆はそっと雅也に掴まった。

集合場所が見えてきた。
「下ろして!歩く!また睨まれる!」
慌てて奈帆は言った。
「黙っとけ!」
全く下ろす気配のない雅也。
そのまま抱かれたままバスに向かった。

「奈帆ー!!」
めぐか心配そうに駆け寄る。
優しく下ろされた奈帆は
「足挫いちゃって。。。」
そんな会話をしていたら雅也は先にバスに乗った。 
帰りのバスも雅也の隣。
みんな疲れて寝ている様子。
雅也の顔を見ると瞼を閉じ頬杖をついてる。
(寝てるかな?)
よく見ると長い睫毛に規則性のある呼吸。
寝ていると確認した奈帆は、
「ありがとう。。。」
小さな声で雅也に語りかけた。
すぐに窓に目を向けると
「言えんじゃん!素直に。。。」
びっくりしたけど奈帆は振り向けず窓の外を眺め続けていた。
少し間があったが続けて
「それでいいんだよ!少し勉強しろ!」
言い方はキツいが奈帆にはとても優しく聞こえた。

2人は無言のままバスは走り続けた。。。
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