• テキストサイズ

私はSですが?何か?①

第2章 ~夏が待てない~気持ちも気温も上昇中


強く握られた腕、歩きにくい道を早々と戻る雅也に、
「痛い!離して!こんなに急がされたら着いていけないって!」 
奈帆は限界を感じ声をあげた。
水を含んだ土が足をもつれさせる。 
雅也は全く聞いてくれずスピードを緩めない。
奈帆が雅也の手を振り払おうとした瞬間。。。  
「あっ!!」
足を滑らせ挫いてしまった。

座り込んだ奈帆を見て雅也は我に返る。

「ゴメン。」

低い小さな声が奈帆の頭の上から聞こえる。
(もぉ!なんなの!!)
痛みと怒りで泣きたくなる。
「もぅ、いいよ。先行って。。。構わないで」
雅也にあたる。
すると雅也は少し離れた場所で誰かと話始めた。
数秒で奈帆の所へ戻る。

「2人には先に行って貰ったから。。。ゆっくり行こう。。。」
初めて聞く雅也の優しい声。
奈帆は頷くことしか出来なかった。

雅也が奈帆を支えて歩く。
しばらくの沈黙を破るよぅに雅也は細い声をあげた。
「一弥先輩と知り合い?」
奈帆は全て話す事は無く。。。
「入学式の時から。。。知った。。。」
奈帆は歩く事に精一杯で話をしてる余裕は無かった。

すると雅也が、
「入学式の時悪かったな。。。けどよ、あの時車から立ってるのが見えたんだ。
だから運転手に注意しろって言おうとした時に遅くて。でも、あの態度。。。
何か殻にこもってるよぅな感じに思えて、ずっと見てたんだけどよー。やっと今日違和感が無くなったわ。。。」
歩くスピードに合わせるよぅに言葉もゆっくりで何故が奈帆は雅也への苦手意識は無くなっていくよぅだった。
「睨んでたよ。。。ずっと。。。」
なんとなく初めて会話が成り立つ。
「睨んでたんじゃねーよ!コイツってもっと違った部分あるんじゃね?本当の自分に嘘をついてんじゃね?って思えて見てただけ。なんとなく昔の自分を見てるみてーで。。。正直になれたら楽なのになーとか。。。」
たいした会話もしてないのに、雅也はなんとなく気が付いていた。

(隠せないか。。。) 

奈帆はただ雅也の声に耳を傾けるだけだった。。。
/ 111ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp