第10章 ~サイドストーリー~ 誘惑と嫉妬
トイレからカラオケの受付を抜けて外に出ると大きくため息をつくめぐ。
(なんか。。。戻りにくいな。。。)
そう思いながらしゃがみ込むと
「あれ?何やってんの?迷子か?」
聞き覚えのある声に顔を上げると雅也が立っていた。
めぐは慌てて立ち上がると
「少し気分転換?みたいな。。。部屋は突きあたりだよ!」
雅也に話すと、
「お前ってさ、奈帆と同じなんだな。。。だからいつも一緒ってのも納得いくわ。」
勘の鋭い雅也の一言にめぐはドキッとする。
「奈帆とは小学校から一緒だからね~。」
無理矢理笑いながら話すと手を引っ張られ受付の前の椅子に座らされる。
「秀明となんかあった?」
隣に座るなり雅也の質問が飛んできた。
「何かあった訳じゃないけど。。。女の子たちが秀明が変わったって言ってるのを聞いちゃってさ。。。」
雅也にはなんとなく話しても大丈夫な気がして全部話すと、
「アイツも俺も。。。中学が楽しく無かったから、高校から自分たちが変わろうって。。。ただそれだけ。
つか、アイツ心配してっから戻るぞ!」
めぐの背中に手を添える雅也。
部屋に戻ると秀明がすぐに近寄ってきた。
「遅い!ってかなんで2人?」
不思議そうに雅也に話すと
「オマエのマネージャーさん、迷子の子猫になってたから首輪つけないとダメだぞ。」
薄ら笑いをする雅也にめぐは
「迷子でも子猫でもないもん!」
3人のやりとりをキョトンと見つめる同級生たち。
同じクラスで同じ部活と話すとみんなは元に戻り騒ぎ始めた。
めぐは奥に座り秀明の歌を聞いてると1人の同級生が話し掛けてきた。
「めぐちゃんは、歌わないの?」
周りがうるさくて聞き取れないせいか自然と顔が近くなっていた。
すると雅也がめぐの肩を掴み、
「近ーよ!」
同級生から引き離す。
ふと秀明を見ると熱唱している。
ほっとしたのもつかの間で、他の数人の同級生から
「めぐちゃんはモテるっしょ~?秀明と付き合って無かったら。。。」
周りでどんどん話しが飛び交う。
そんなめぐを庇うかのように雅也はずっと隣を離れなかった。
歌が終わるなり秀明がめぐの隣に割り込む。
「俺の女に気易く声かけない!」
周りを振り払う秀明に雅也が
「おせーよ!」
ボソッと話したせいか聞いてなかった秀明は笑顔のままめぐの手を握りしめた。
