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私はSですが?何か?①

第9章 甘い誘惑 ~初めての○○~


びっくりした顔の倉持。
「お、オマエ。。。聞いてたのか?」
焦る倉持を差し置き一弥のロッカーで荷物を片付ける奈帆。
すると部員達が
「荷物まとめて。。。辞めちゃうんっすか?」
恐る恐る奈帆に聞く。
「そう!迷ってたけど、これでやっと踏ん切り付いた!一弥先輩をサポートするつもりが、混乱させただけ。迷惑かけただけ。よしっ!じゃあ明日の試合頑張ってね!」
倉持とは目も合わさず部室を出て行く奈帆。
わざと裏から帰ろうとすると
「待てよ!」
倉持が呼び止める。
しかし奈帆は歩くのを辞めず
「なに!!なんか用?」
冷ややかな言葉で倉持に返事をすると、
「待てって!オマエが辞めるの一弥は知ってんのか?」
倉持が奈帆の前に立ちはだかる。
「知らないよ!今決めたことだし!」
下を向いたままの奈帆の目から雫が落ちる。
「おまっ。。。はぁ。。。一弥のことそこまで好きか。。。」
倉持が優しく奈帆の涙を拭うと
「もう、私につきまとわないで!」
倉持を避けるように歩き出すと倉持に掴まり抱きしめられる。
「俺は。。。オマエが好きだ。。。けど、一弥が好きだって言うなら諦める。。。」
耳元で囁かれる柔らかい声。
しかし奈帆は
「私は。。。一弥先輩が好き。。。けどもう終わり。野球部とも一切関わりたくない!」
そう言うと奈帆は倉持を腕を力いっぱい振り払い帰って行った。
自宅に着いても涙は止まらず、真っ暗な部屋に隠っていた。
すると携帯が鳴る。
画面を見ると一弥からだ。
『今、家の前にいる。会いたい!』
文字を見れば見るほど涙がこぼれた。
返事をできずにいると更に
『出てくるまで待ってるから。』
一弥の優しさが今の奈帆には辛い。
奈帆は最後の力を振り絞って外に出るとすぐに一弥に抱き寄せられる。
「倉持から聞いた。辞めるのか?俺が頼り無いからだな。。。」
奈帆に申し訳なさそうに話すと、
「違うよ、辞めるのは一弥に野球に打ち込んで欲しいから。だからマネージャーも辞めるし。。。」
言葉の途中で一弥に口を塞がれる。唇が離れると
「俺は別れない。。。マネージャーも辞めさせない!お前が勝利の女神だから。。。」
更にきつく抱きしめる一弥に
「もぅ。。。無理だよ。。。まずは明日の試合頑張ってね!応援してる!」
奈帆がゆっくりと一弥から離れる。
「明日、勝ったら迎えに来るから。つか、スタンドでいい!見てて欲しい。。。」

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