第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
松林の中を歩く小柄な人影、浅葱色の衣をまとい金色の頭髪と狐のようなフサフサの尻尾が歩く度に揺れる。
少年は見渡すことのできる丘の上で立ち止まると、懐から折り畳まれた紙を取り出し広げる。
「....うーん、ここがこれだがら....あの川を下ったったところかな」
地図らしき紙をまた懐にしまうと少年、ニルムは眼下に流れる川に向かった。
ニルムが育った山を出て2日が過ぎた、幸い雨などの天候の変化は無く、二日とも晴れであった。
食事には困らなかった。ある時は素手で、ある時は妖術を巧みに使い鳥などの小動物を狩っていた。
そして父から受け継いだの身体能力と母から受け継いだ妖力を使い普通のスピードでは到底無理な距離を進んだニルムはついに熾獅族の街を眼前に捉えた。
そんなニルムは川を下りながら口に手を当てて悩んでいた。
「はあ、絶対何族か?って聴かれるんだろうなぁ....なんて言おう....素直に混血だって言ったらなんか危なそうなんだよな.....たしか熾獅族って身体能力に秀でた種族だったから豪豹族って答えとけばいっか」
まあそんな感じでニルムの悩みは三秒後には消えていたりしたが。
近づくにつれてその街の様子が見えて来た。
まず人家は全てレンガで出来ていた。赤いのではなく真っ白のやつの方でだ。
ほとんど一階建ての人家が続くなか真ん中に大きな道、多分大通りか商店街だろう道があり熾獅族の獣人がひしめいていた先には大きな白塔が建っている。
そしてそれらを取り囲む白い大璧が街の存在感をアピールしていた。
「すごいなぁ、ボクこんなに人がいるの初めて見たなぁ」
ニルムは驚き混じりに呟いた。そしてそれを見て興味が湧いたのか「よし!」と一言いうと川縁を走り出した。
あっという間に街の門に着くとやはり門番は居て商人のキャラバンなどが忙しく出入りしていた。
「門番さん門番さん。ボクこの街に入りたいんだけどいいかな?」
金髪の目立つニルムだが身長の小さいからか、今更門番に認識された。門番は窓から身を乗り出し耳の先っぽしか覗いてないニルムを見つける。
「んぁ?じょう....」
とっさにニルムは声を荒上げた。
「ボクは男だよ!!」
「おっと、すまんな坊主、まあ入っていいが一応身分査定がある。この紙にある質問に答えてくれ」
「わかったよ門番さん」