第2章 ボクはとりあえず熾獅族のところへ行ってみようと思い旅路につく
「ガランディオ!?」
サエルは目を見開く。
ガッチリとした大柄な身体に下腹部まで伸びたたてがみ、どう見てもガランディオ本人だった。
「え!?ガランディオ..!?」
「おいおい嘘だろう....」
「さすがにやばいわよガランディオが相手じゃ...」
ユウハは心配そうに屋根の下にいるニルムを見た。
「おじさんはガランディオっていうんだ」
「そうじゃい、そして坊主はニルムというんか」
「そうだよ、ガランディオおじさん」
なにくわない自己紹介、しかしそれは口上だけで二人は横道の壁を跳ねて、攻撃しながら喋っていた。
ガランディオの大きな拳がニルムの顔の横をかする、それと同時にニルムはガランディオから距離をとった。
「...お、おじさん強くない?」
「なあに坊主、お前が強過ぎるんじゃ。もしかして豪豹族の子供は皆そうなのか...?」
その問いかけにニルムは少し顔を伏せていった。
「わからないんだ。ボクは親に育てられたわけじゃないからね」
その意味あり気な言葉にガランディオが「むう」と唸る。
「つまり坊主、お前さんは親の名も知らずに育ってきた、ということなのか?」
「...ううん、親の名前は知ってるよ。今ここにいるのだって親を探すためだもん」
「して、親の名前は?」
ニルムは数秒の沈黙のあとゆっくりと口を開いた。
「...お母さんはここじゃ言いたくないから父さんの方だけゆうよ」
「......」
「ボクの父さんはの名前はね、「オウカク」っていうんだ」
それはニルムが初めて他人に自分の親のことを話した瞬間だった。
ニルム自身もなんで話したかわからなかったが、何故かすんなりと話せた。