第2章 婚約者とか、実在するんだな
赤司
「楓はそれでいいの?」
『征くん。…うん。私はそれで構わない』
心配そうにこちらを見る征くんに、私はそう言った。
それを聞いて、征くんも覚悟を決めた顔になる。
赤司
「楓が良いなら、俺もそれでいい」
橙父
「そうか!それは良かった」
私達が了承すると、お父さんも赤司さんも、満足そうに頷いた。
橙父
「じゃあ私達は大人の話があるから、2人で少し話してきなさい」
食事を終えてから、そう言ってお父さん達が私達を追い払ったので、私達はそのホテルのロビーに来ていた。
『本当に征くんはあれで良かったのか?無理してないか?』
赤司
「してないよ。楓こそ、本当に大丈夫なのかい?」
『私は大丈夫だ。征くんのことも、本当は兄弟みたいに思ってて結婚とか考えられないけど、好きだしな。
でも「仮婚約」っていうのはなんとか通したから、征くんが嫌になったりとか、私の家に問題が起きた時とかにはちゃんと解消出来るはずだ。
だからそのときは気にせずすぐ言ってくれ』
赤司
「……んなこと……な…よ」
征くんが小さく呟いたけど、私の耳には届かなかった。