第2章 婚約者とか、実在するんだな
赤司
「楓…?」
『なんで征くんがここにいるんだ?』
私達が互いにそう言うと、お父さんは「知り合いか?」と冷たく言った。
橙父
「まあいい。
楓、こちらは赤司さんと息子の征十郎くん。
お前の婚約者だ」
『婚約者…?』
親の口から発せられた信じられない単語に、私は思わず聞き返した。
聞くに、私と征は親同士が決めた婚約者になったらしい。
征くんのお父さんは、「赤司財閥」の代表。
私のお父さんは「TONOグループ」の社長。
どうやら私のお父さんは、お互いの子供を結婚させることで、強固な結びつきを手に入れようとしているらしい。
相変わらず、娘の事を道具としか考えてない。
今に始まった事じゃないから別に今更だけど。
…でも確かに、この結びつきは両家の利益に繋がる。
征くんは大切な幼なじみだから結婚なんて考えられないけど、下手に断るのは征くんの家の迷惑になってしまう。
赤司
「父さん、聞いてませんよ」
異議を唱えたのは征くんだった。
赤父
「そりゃあ、言ってないからな」
赤司
「なんで教えてくれなかったんですか」
赤父
「教えたらお前は来ないだろう?」
赤司
「そりゃそうですよ。
俺達はまだ10歳ですよ?」
赤父
「それがなんだというんだ。
赤司に生まれたからには赤司に尽くすのは必然だろう」
赤司
「また、貴方は…!!」
征くんと征くんのお父さんの討論が始まってしまった。
これで話を流されてしまってはたまらないとばかりに、お父さんが仲裁に入った。