第6章 レッツゴー、アクアリウム!
さつきに引っ張られて行った先、そこはペンギンのコーナーだった。
ちょうどエサやりの時間だったらしく、飼育員のお姉さんが魚の入ったバケツを持って現れた。
ほとんどのペンギンがお姉さんの方に向かって歩いて行く中、1人だけその場を動かないペンギンがいた。
動かざること、山のごとし…というか、小さいながらに謎の貫禄のあるそのペンギン。
『なんかあのペンギン、誰かに似てるな…』
しかしこのままではエサを貰えないが、大丈夫なのか。
と思っていると、
お姉さん
「エンペラー!ほら、ご飯だよ、食べて!!」
あのペンギン、エンペラーっていう名前なのか、と思ったのも束の間。
お姉さんは、わざわざエンペラーの前まで来てエサをやった。
そしてそれを当然のように受け取ったエンペラー。
魚を飲み込むと、お姉さんに「ありがとう、礼を言うよ」とでも聞こえてきそうな顔を向けた。
『あ、ああああああ!』
それを見て、誰に似ているのかわかった。
桃井
「楓ちゃん、どうしたの!?」
私の声に驚いて反応したさつきに、私は驚愕したまま伝える。
『あのペンギン…征に似てる!!』
青峰
「ぶっ!!」
赤司
「え、俺?」
まさか自分とペンギンが似てるなんて言われるとは思わなかったのだろう。
征が素で驚いた声を出した。