第2章 婚約者とか、実在するんだな
赤司
「…っ!」
私が言うと、征くんは顔を赤くした。
確かに恥ずかしいことを言ったかもしれない。
それを見て、私も急に頬が熱くなった。
『…っ!そんなわけだから、私が嫌がってるとか、そういうことは、断じてないからな!もちろん、今も、これからも!』
赤司
「…わかった。俺も同じだよ」
そう言って征くんは俯いてしまって、顔をあげることはなかった。
私もどうにも恥ずかしくて、結局私の家に着くまでずっと無言だった。
『それじゃ、また明日な、征くん』
赤司
「ああ、また明日、楓」
なるべくいつもと同じように心がけて別れの挨拶をし、私は征くんに背中を向けた。