第10章 黒子のバスケ/黄瀬 涼太

「…リョータ」
「なんスか？」
「さっきの付き合うは、どの付き合うですか？」

　頑張ってみたが私の脳では現在キャパオーバーを起こしてしまい、先程の発言をした彼へと問いかけた。
　そうすると彼は答えを言おうとしたように見えたのだが１度口を閉じてしまい、私に問いかけをしてきた。

「名前っちはどの付き合うだと思うんスか？」
「分からないから…聞いているんだけど」
「…俺は名前っちの捉えた方でいいッスよ」
「私が捉えた…方？」

　それでリョータが考えたものと違ったら彼が報われないし、もし私が付き合うと言って違ったらただの自意識過剰なのではないかと考えた。
　だが彼はのんびりと、焦らせることなく私に時間をくれた。私がどちらで捉えても良いと言われるならば、答えは既に決まっているのだが。

「…両方」
「…え」
「お散歩も一緒にもう１回したいし、リョータ…黄瀬くんのこと全然分かんないけど…彼女に…なりたい！」
「名前っち…！」
「欲張り…かな？」
「全然！全然大丈夫ッスよ！」

　私のことを見てあのときのような綺麗な笑みを浮かべたリョータのあまりの美しさに私は思わず視線を逸らしてしまった。
　だがよく考れば、私がリョータ（本体）と出会ったのは今日が始めてなのだ。それはもしかしたら世間では…良い扱いはされないのではないかという考えがよぎった。

「あの、人知り合って１日目だし…全然私取り柄ないけど…いいの？」
「名前っちは、優しいッスよ！
それに俺は名前っちの取り柄いっぱい知ってるッス！」
「…？」
「だって２週間近く、居候してたんスから」

　リョータの居候という言葉に私はまた顔を熱くさせた。なぜなら彼に一緒にお風呂に入るかと問いかけたり、思えば抱き締めたりもしているのだ。
　…だけど、だからこそ私のことを包み隠さず知っていてくれているような気がした。