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【6月合同企画】雨より飴を希望します

第10章 黒子のバスケ/黄瀬 涼太




 私に気づいたリョータらしき人物はわざわざ私の近くまで駆け寄ってきてくれた。
 その時に顔を確認すると、モデル雑誌やバスケ雑誌、テレビに映されていたものと同じで、私の心臓が少しだけ軋んだ。

「っ、リョータ…向かえに来てくれたの?」
「もちろんッスよ!約束だったんだから!」
「…!ありがとう、嬉しい!」

 素直に微笑むとリョータは周りにキラキラとしたオーラを放ちながら綺麗な笑顔を私へと向けてくれた。
 そのオーラも、笑顔もどことなくリョータの雰囲気と似ていて頭を撫でたいなー…という衝動に駆られた。

「ダメッスよ、ちゃんと傘ささないと…風邪引くッス」
「下駄箱でキセリョって聴いて…走ってきた」
「そんなに俺に会いたかったんスか?」
「うん!」
「ちょ、声おっきいッス!」

 モデルやキセキの世代?とやらで有名なリョータは元々注目を浴びていたのだが、先程の私の声で余計に注目も集めてしまった。
 それを悟ったリョータは私の手首を掴んで彼の傘の中へと入れられた。そして彼は私の手首を掴んだまま歩き始めてしまった。

「あの、リョー…黄瀬くんは何で犬になってたの?」
「リョータでも涼太でもいいッスよ
実は名前っちに拾われた日にいつの間にか犬になってて…俺もよく分かんないッス!」
「へー…すごいね、犬になった経験をするなんて」
「けど、先輩にどこ行ってたんだ!って怒られたッス」
「そりゃ怒るよね…」

 急に知り合いが消えたら誰でも焦るものだよ。とリョータに告げると、犬になっているときの私の話を思い出したのか眉を下げた。
 その瞬間に彼は私の手首と傘からパッと手を離して私の両手を大きな手で包んだ。

「名前っち!」
「え、あ、はい!」
「俺と、付き合ってくれないッスか!?」
「は、はい!?」

 彼の言う「付き合う」の意味がお散歩などに付き合う。の意味なのか、それとも彼氏彼女の付き合う。のどちらなのか、頭をフル回転させて考えた。


「付き合う…付き合う…付き合う…?」
「名前っちが壊れたッス!?」
「散歩…彼氏彼女…1+1は…3?」
「違う!2ッス!答え間違ってるッス!」

 だけれども考えれば考えるほど私の顔はどんどん熱さを増し、普段普通に分かり考えられることも考えられないほどのパニックに陥っていった。



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