第10章 黒子のバスケ/黄瀬 涼太
あれから1週間、雨は降らなかった。友達はまあ…1人だけできたけど、クラスにはまだ全然馴染めていない。
そして黄瀬涼太くんはニュースで無事を伝えられ、モデルをやっていた彼はクラスの女の子がすごく騒いでいた。(そこから仲良くなったったりした)
「無事で、良かったなぁ」
「ん?誰が?」
「黄瀬涼太、くん」
「本当良かったよね!私心配でさぁ…誘拐されたんじゃないかって!」
「(…あれは誘拐に入るのだろうか)」
8日目の午後から雨が降り始めた。体育は仕方なく体育館で体力テストとしてシャトルランを今さらやったけど…そこまで良くなかった。
クラスでビリまでは行かなかったが、恐らく下から数えた方が速いであろうほどの数字だったことを覚えている。
「それじゃ、うち部活行くからまた明日ね!」
「うん!また明日」
HRが終わった時間からだいぶ経っているため、教室には人がいなかった。そのために教室に鍵をかけて職員室にその鍵を返して…と校内を歩き回った。
少々階段を上り下りするだけで疲れてしまうのは…何とかしないのなぁ。と他人事のように思いながら昇降口へと歩き始めた。
着いてから靴に履き替えスクールバッグに持ち直して、ゆっくりとした足取りで歩いていると、後ろから2人の足音が聴こえた
「本物なのかな!?」
「どっちにしても見に行く価値はあるよ!
そっくりさんならそれはそれで良いしー…本物なら本物でラッキーじゃん!?」
「あー…本物だったらどうしよう…」
「そっくりさんでも私…失神するかもー!」
「「キセリョだもんねー!!」」
「キセ…リョ?」
2人の話は意識しなくても耳に入った会話は、最後の言葉を聴いてから何故か耳に入らなかった。
キセリョとはリョータ…黄瀬涼太のことなのだろうか、略し方としては恐らく合っている筈だ。けど…もし、もし本当に彼なら…会いに来てくれたと考えても良いのだろうか。
例えリョータじゃないとしても…彼である可能性があるならと、スクールバッグ持ち手をギュッと握り、走り出した。
そうしてそこまで長くない道のりを走った結果、私は息切れと立ちくらみによって体が重くなっていた。
「名前っち…?」
「りょ、リョータ」
顔をあげた際に、あのときと全く変わらない目がそこにあった。