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【6月合同企画】雨より飴を希望します

第10章 黒子のバスケ/黄瀬 涼太




「…んー、眠いっ、なぁ」
「わんわん!」
「あ、おはようリョータ。今日は学校だから急がなきゃ…雨降ってる?」
「わん!」
「…降ってるのかぁ」

 ここ何週間かずっと雨だなぁ…洗濯もの溜まっちゃうんだけど…と考えながら、ベッドから降りてリョータを撫でた。
 先に着替えると制服が汚れるから。という理由でパジャマのままキッチンへと向かい、TVを付けて朝御飯を作り始めた。


「今日の朝御飯、何が良い?」
「わん!」
「んー…分かんないなぁ、昨日のと一昨日のと、どれが良い?」
「わん!」
「…一昨日のかな?」
「わんわん!」
「うん。分かった」

 だいぶリョータの言いたいことが分かるようになってきて、コミュニケーションがだいぶ活発になった。
 私が朝御飯を作っている間彼は大体遊んでいるか、またはTVを見ていることが多く、今日は気分なのかニュースをじっと見ていた。

『つづいてのニュースは神奈川県××市に住んでいる15歳の男性、黄瀬涼太さんが行方不明との…』
「…黄瀬、涼太?」
「…」
「リョータと、同じ名前だね」
「…わん」

 先ほどまで元気いっぱいすぎるリョータが急に静かになってしまったため、思わずフライパンの火を止めてリョータへと駆け寄った。
 近付いてみると彼はとても悲しそうな顔で私のことを見ていて、その目があまりにも人間性らしくて思わず驚いてしまった。

「リョータ…?」
「…」
「どうしたの?う、わ!」

 急に大人しくなったリョータが心配で目線を合わせると、彼は私に向かって突っ込んできた。大型犬のため、それなりに重い。
 どうしたのかもう1回聞こうとすると、彼は泣いていた。理由なんて分からない。そして彼の涙が私の頬に、落ちた。

「…泣いてるの?」
「…」
「リョ、リョータ…?」

 ポタポタと彼の涙が私の頬に落ちると彼は光を発し始めて、私はその眩しさに耐えきれず目を瞑った。
 しばらくするとその光は止まり、目の前にとてもカッコいい黄色い髪の男の人が佇んでいた。



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