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【6月合同企画】雨より飴を希望します

第8章 黒子のバスケ/赤司 征十郎






「…今日は、いないんだな」



翌日、赤司は同じ時間帯にその場に来ていた。彼は別に彼女が気になった訳ではない。と言い聞かせながらやって来たのだが、彼女が居ないことに声の大きさが少し小さくなっていた

よく考えれば昨日初めて彼女を見たのだから、居ない確率の方が高いのに。なぜ彼はわざわざ自主練を止めてまでやってきたのだろうか




「…昨日の」


「昨日、迎えは来たのか?」


「うん。見つけた」


「そうか。今日はもう帰るのか?」


「もう来た…帰る」



彼女は雨に何を…いや雨の日に何を求めているのだろうか。と赤司は疑問に思ったため、彼女の表情、瞳、様子から探った

だが彼女は何も変わらず、昨日とまったく同じ表情で、先程とも何も変わっていなかった




「顔、何か付いてる?」


「いや、何でもない」


「でも赤司くんは、汗、すごい」



彼女はスクールバッグからタオルを取り出して、彼の額に浮かぶ汗を拭った

その一連の動きに赤司は少々戸惑っていたが、少し嬉しそうな笑みを浮かべていた




「っ、悪いな、わざわざ拭いてもらって」


「汗、こまめに拭かないと…バスケ部…大変」


「バスケ部に、興味があるのか?」


「…何も?」


「そのわりに気にかけてくれるんだな」


「バスケ部…人気者だから…風邪引いたらみんな悲しむ…」



彼女の言い分に赤司は彼女自身の意思でやったのではないのかと心が急に冷えたような感覚がした




「じゃあまたね、赤司くん」


「!」



彼女はそう言って傘をさして外へと行ってしまったが、彼は彼女の背中をじっと見つめていた




「俺の名前…知っていたのか…」



思ってもいなかった彼女の言葉に少し、いやかなり喜んでしまった

その後機嫌の良いまま自主練へと戻ると、チームメイトは珍しいものを見るような目で赤司のことを見ていた










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