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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第65章 星空


「で……センパイ、真面目に何しに来たんスか」

もう食事も終盤だ。時間も早い訳ではない。
センパイは、何の用でオレを呼び出したんだろう?


「ああ、悪い悪い。オマエさ、まだ進路決めてないって言ってたろ」

「さすがにまだっスね」

「俺んとこの練習、見に来いよ」

「へ? センパイの大学っスか?」

「刺激になんだろ。神崎でも連れて。
道はこれ見りゃ分かんだろうから」

センパイは机の上にリーフレットを出した。

細い観音開きになった簡素なもので、開くと簡単な学科案内や、交通アクセスなどが記載されている。


「センパイがいいって言うなら行ってみたいっス。IH終わったあたりっスかねえ」

「まあ時期はいつでもいいけどよ。気分転換にな」

「……もしかして今日、それだけの為に来たんスか?」

「なんだ、可愛い後輩の様子を見に来ちゃダメなのか」

「センパイらしくないっスね……」

また蹴りが飛んでくるかと覚悟したが、
予想に反して机の下は静寂を保っていた。


「あとこれ、良ければ神崎と行けよ」

机の上に出されたのは、小さな封筒。


「なんスか?」

開けてみると、出てきたのはプラネタリウムのチケットだった。


「どうしたんスかこれ?」

「親父が会社で貰って来たんだよ。どうせオマエらバスケ漬けでロクな事してねーんだろ」

「いやでも、ちゃんとヤる事はヤって……いってえー!」

再び繰り出された蹴りに、脛をさすりながらチケットを眺める。

センパイの言う通りだった。
毎日毎日バスケばっかりで、みわとの思い出ってゼンゼン作れてないんスよね……

たまにふたりきりになれても、寂しかった身体を繋げる事ばかりになってしまっていた。

「いいんスか?」

「神崎もストレス溜まってんだろうから、リフレッシュしてIH臨んで来いよ」

「スンマセン、ありがとうございます。じゃあ、色々溜まったモノをスッキリさせてIHに……」

今日一番の音を立てて、シバかれた。




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