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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第64章 魔性の女


みわには一足先に寮からコッソリ出て貰った。

本当はオレも一緒に出たかったけど、みわはやる事があるからと先に行ってしまったのだ。


「黄瀬先輩! おはようございます!」


この猫なで声は。
そして、オレの歩幅に合わせてくる足音。

「……おはよ、スズサン」

海常の制服、スカートは短めで髪はくるんと巻いている。

なんだか上機嫌のようだ。

「先輩、今日も素敵ですね」

「ドーモ」

本当に、清々しいほどのアプローチ。



「あ、スズさんおはよう!」

オレの右耳を擽る、春風に負けない低く通る声。
みわは自分の声が好きではないというが、オレは大好きだ。

「……神崎先輩、おはようございます」

眉間にピッシリと入ったシワ。
本当に、清々しいほど分かり易い。

「昨日あのあと、ネックレス見つかったんだ」

「え……」

「スズさんが教えてくれたからだよ、ありがとう。
これからは気を付けるね」

キラキラした笑顔。
疑いなんて、カケラもない。

「……良かった、ですね……」

「じゃあ、私先に体育館に行ってるね! また後で!」

みわは、軽やかな足取りでバスケ専用体育館へ向かって行った。




「……」

「見つかるはずがないのに、って顔っスね」

「な、なんのことですか」

カマかけたつもりだが、予想以上の反応。
隠しごとは出来ないタチか。

「アレさ、みわが大事にしてくれてるモノだから、二度と手を出さないで」

「……言ってる意味が」

「みわはそんな事疑いもしていないから、オレも今回は警告で済ませておく」

「……」

「分かったならなんとか言って欲しいところっスけど」

「……私も、同じにしてください」

「は?」

「神崎先輩と同じように、遊び相手からでいいです。
わたしも、黄瀬先輩のお傍に居させてください」

「何勘違いしてるかは知らないっスけど、オレの女はみわだけだから」

「え……」

「アンタも、伝統ある海常高校バスケ部のマネージャーになろうとしてんなら、正々堂々としろよ」



無理してオレに合わせていた足音は段々遠ざかっていった。



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