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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第64章 魔性の女


狭い部屋に光が満ちる。

この部屋は実家とも先日まで住んでいたマンションとも造りが異なるので、合うカーテンがなかった。

わざわざ高いものを新調する気にもなれず、ホームセンターで適当に購入したのだが、遮光が殆どされないため、朝方になると部屋が格段に明るくなる。

まあ、健康的だからいいかと思ってはいるが、夏場は暑いだろうな……。

すっきりした身体を起こすと、時刻はまだ4時台だった。

結局昨日取りに行けなかった洗濯物を取りに行こうと、部屋を出ようと……

……一瞬、ドアノブに重みを感じた。
まずい。

外に出てみると、ドアノブにオレの洗濯バッグがかかっている。

寮では、誰が洗濯機や乾燥機を使っているかが分からなくなってしまう為、自分の名前の入った洗濯バッグを使用中の洗濯機や乾燥機にかけておく。

そうすると、もし機械が仕事を終えているのにも関わらず、本人が気づいていない場合なども誰の物かが明らかだし、急ぎなのに機械が空いていない場合でも、こうして乾燥が終わった衣服を洗濯バッグに入れておいて、自分が使用することができるのだ。

こういう事は日常茶飯事で、大体乾燥が終わった衣服をこうして詰めてくれる場合は、
その人の部屋のドアノブにかけておく、というのがまあ慣習みたいなものになっている。

……オレも、こうして何度もかけておいて貰った事がある。

でも今日は。
バッグの中をチラリと覗くと、オレの部屋着にみわの小さなジャージ、ネットに入ったブラジャー、ショーツ。

……そりゃ、そうっスよね……。

完全に、女を連れ込んでいるのがバレバレ。

誰が持ってきてくれたんだろ……
昨日は時間も遅かったし、いっぱいになることはないだろうと油断していた。

誰かが気を遣ってくれたんだとは思うけど。

これは、バレないようにさっさと出た方が良さそうだ。

「……みわ」

「ん」

ぺちぺちと頬を人差し指でつつくと、僅かに身じろいだ。

「みわ」

「んー……」

うーん、カワイイ。
どうしてだろうか、いたずらをしたくなる。

すっかり本来の目的を忘れ、隣に滑り込んだ。


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