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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第64章 魔性の女


「も、もう早く、もどろ?」

唇が離れても、涼太は身体を離してはくれない。

ちらりと、斜め上から降り注ぐシャワーを見つめた。

「ほら、寮とは言っても水道代もったいないよ……」

「んー……でもオレもう、こんな」

……それは、さっきから嫌という程分かっている。

熱くて硬いモノが、ここぞとばかりに主張して腹部に当たっているから。

「何考えてるの、こんなところで。見つかったら、大変なんだから出よう?」

目線のやり場に困って涼太の腕を見ると、赤い血のようなものがついているのが見えた。

「涼太、血……!?」

それは、私の指先から出ていた血が、キスで彼の腕を掴んだ際に付着してしまったものだった。

先ほど貼って貰った絆創膏は血が滲み、べろりと剥がれてすでに絆創膏としての役割を果たしていない。

「やだ、ごめんなさい……」

そんなに深い傷だった気はしないのだけれど、血行が良くなって出血が多くなってしまったのかもしれない。

「……痛そう」

涼太が私の手を取る。

「あ、ううん……痛みはそんなに、って、え!?」

次の瞬間、私の指先は彼の口の中に吸い込まれていた。

「涼太っなにっ」

「……みわの味がする」

「なッ、何言ってるの! あの、あれでしょ、迂闊に舐めちゃ、ほら、血液型ッ」

「……みわこそ、何言ってんスか……」

うっ。
ぐうの音も出ない。

「だって、涼太がイキナリ変な事するから……ッ!」

「変なコト……?」

……どうして。
ピチャリというほんの僅かな水音が聴覚を刺激する。

指先の、そんな少しの部分を刺激されているだけなのに、どうしてこんなに気持ちが昂るのか。

悔しい。
いつも私は涼太に翻弄されるばかりで。

「……ぁ……やぁ」

「へへ、カワイイ声、聞けた」

ちゅっという軽快な音を立てて、唇が離される。
頬が熱くなっているのを感じる。

まるで自分の秘部から溢れ出る愛液のように、じわりと血が滲み始めた。

「血、止めないとっスね」

涼太は諦めたようにふんわりと微笑んでからおでこにキスを落とし、シャワーでふたりの身体を手際よく流した。



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