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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第64章 魔性の女


「無駄が多いと思います」

きっぱりと私は神崎先輩に言った。

「そんなに、朝から晩までバスケに費やす必要がどこにあるんですか?」

「……」

「私はバレー部のマネージャーをやっていましたが、普通ここまでやりませんよ?
こんなに毎日のように全ての練習のデータ取りなんて、やりません。普通」

先輩は知らないんだ。
普通、こんな事しませんよ?
頑張るだけ、無駄。
損なのに。

「……普通かどうかは正直わからないんだけど、私はこのチームで、全国制覇をするという夢を叶えたい。そのためなら、なんだってするよ」

理解出来ない。
そこまで自分を消費して、最後になにが残るのか。

「みわ、ちょっといいっスか?」

「あ、練習メニュー?」

「うん、あとテーピングお願いしよっかなって」

「うん、分かった。ちょっと取ってくるから、スズさんここで待っててね」

神崎先輩はテーピングを取りに行ってしまった。

黄瀬先輩とふたりきり。
チャンスだ。

「黄瀬先輩、先輩は無駄な事だと思いませんか?」

「ん? みわのやってることが?」

「そうです。1日何時間もかけて、ノートをまとめて。折角の貴重な学生時代、そんな事に時間を費やしている暇はないと思います」

「ふーん、そうっスか……」

「私、何か間違っていますか?」

「いや、そういう考えもアリなんじゃないスか? ただそんなマネージャー、一緒に全国目指そうとは思わないけどね」

「!」

「みわがどれだけチームの皆の精神的支柱になっているか、まあまだアンタには分かんないっスかね」

「そんなの、私だって……」

私だって、少し頑張ればそのくらい。

皆、私の事好きになるんだから。
私は、なんだってできるんだから。


「アンタもみわみたいなマネになってくれることを願ってるっスよ」

……私とあの女のどこがそんなに違うのか。

分かった。
私がさっさとナンバーワンになって、間違ったやり方を思い知らせてやるんだ。

「ふたりとも、お待たせ」

全部あんたの仕事を盗んで、居場所をなくしてやる。


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