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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第64章 魔性の女


体育館に戻り、マネージャーと選手に集合して貰う。

それぞれ、自己紹介などを軽く済ませて。

「キオちゃんごめんね、彼女は私が見るね」

「ううん、わたしじゃ自信なかったから、助かったよ」

キオちゃんはちょっと元気がない。
当たり前だ、自分の仕事をあんな風に言われて。

口で言って分かるタイプではない。

私に、先輩としての姿を見せられるだろうか……?

「神崎、ちょっとシュート練習30分入(れ)たいんだけど」

「承知しました」

散らばっていく選手たち。




「……えっと、いきなりは難しいと思うから、今日は私がどうやってるか口に出して言うね」

「……はい」

「要は、入った本数、角度、クセが記録できればいいんだ。
メモは、慣れてきたらどんどん自分が取りやすいように取ればいいと思うよ。
私もこうやって記号にしたりしてる」

「……はい」

「角度はね、固定して貰ってるから……
最初に今日はどの角度からシュート練習するのかを記入。
黄瀬OK右足重心偏り過ぎ、だとここにこうしてメモして、早川NG少し後ろ重心」

「……は? もしかして全員分同時に見てます?」

「そうだね、まあポンポン打てる類のものじゃないから、6人だったら結構余裕だよ。
中村OK手首スナップ緩め、黄瀬NG右足重心偏り過ぎ」

「……」

彼女は特にその後何も言わないまま、シュート練習は終わってしまった。

結構集中して見ないといけないから、データ取る練習で教えながらっていうのは大変だなあ……。




「集合ー!」

「はい、これで取ったデータを後でまとめるんだ。だから別にしておくっと」

「え……」

「じゃあ次はミニゲーム入(る)ぞ!
黄瀬はウエイトな」

「了解っス」

「私たちは、黄瀬くんについてトレーニングルームに行きます」

「はい!」

涼太の名前を聞いて、彼女の顔がぱあっと明るくなった。



3人で歩く校内。

「えっと、スズヤマサンだっけ?」

「はい! "スズ"とお呼びください!」

「スズサンね。了解っス」

人の名前を覚えるのが苦手な涼太が、珍しい。

小柄でお人形さんみたいな外見……。
もしかして、好きなタイプだったりする?


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