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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第64章 魔性の女


今年も沢山の新入生が入学してきた。

バスケ部の体育館は、入部希望者とギャラリーで満員だ。

「あッ、黄瀬先輩だ!」

「きゃー! 黄瀬先輩!!」

涼太が先輩って呼ばれるのはなんだかおかしいけれど、人気は相変わらずだ。

彼が通れば、男女問わず歓声が飛ぶ。

涼太も、ギャラリーにはニコニコと手を振っていた。




さて、と……。

私は、新しいマネージャー希望者を……。
集まったマネージャー希望者を振り返って思わず「わっ」と声が漏れた。

そこには、10人以上の人だかり。

こんなにも希望者が……!
凄い!!

「えっと……それじゃ、自己紹介をお願いしていいですか?
バスケの知識がある人はそれも付け加えてくれると助かります」

全員、バスケについては殆ど知識がなかった。
それはそうだよね、私も全然知らなかったし……。



「あの、神崎先輩ちょっとよろしいですか?」

ひとり、挙手をしている子が。

目は少し吊っていて、お人形さんみたいな顔。
小柄で可愛らしい子だ。

先ほどメモした彼女の自己紹介に目を落とす。中学ではバレー部のマネージャーを経験している、と……。

貴重なマネージャー経験者だ。

「はい、なんでしょう」

「率直にお聞きします。
私は黄瀬先輩のサポートがしたくてマネージャーを希望しています。
入部してすぐ黄瀬先輩につく事は出来るんでしょうか?」

なんという真っ直ぐさ。

思わず、選手たちも振り返っている。
当の涼太も。

「えっと、まずうちのマネージャーは、
1軍から3軍までの担当制にしています。
なので、個人につくような事はありません」

私は……監督からも言われ、なんだか涼太担当みたいになっているけれど……。

「だから入部してくれたら、まずはバスケの基礎知識を覚えて貰って、その後は先輩マネージャーについて、教わるって感じになるかな」

「では、1軍の先輩について教わるということもあり得るということですね?」

「はい、そうなります」

「分かりました。入部します」

彼女はキレイな字で書かれた入部届を差し出した。

「はい、確かにお受け取りします」

それに続いて、入部の意思を示す子たち。
まだ仮入部にしておきたい子たち。

これは、大変な事になりそうだなぁ……。



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