第63章 変化と進歩と計略と
半ば引き摺られるようにエントランスをくぐり、エレベーター前で一度、強く強く抱きしめられた。
「あぅ……」
内臓が飛び出すのではないかと思うほど、強く熱い抱擁。苦しい。
ずっと心配していた涼太の気持ちが、痛いほど伝わってくる。
「りょ」
次の瞬間、視界は涼太で埋め尽くされた。
熱い唇が、抱きしめられた腕の強さと比例して強く、まるで飲み込むかのように私の唇を覆った。
「……ッ、はァ……ッ!」
酸素の供給もままならないようなキスをしながら、なだれ込むようにエレベーターへ乗り込み、箱が上昇を始めても涼太の手が緩むことはない。
唇は首筋を強く吸い、大きな手はジャージの裾から肌を求めて入り込んでくる。
「あ、りょ、りょう、た」
下着を捲り上げた手は乳房を激しく揉みしだき、柔らかな肉は彼の手の中で自在にカタチを変えていく。
「あぁ!」
もう、理性なんてカケラも残っていなかった。
熱い唇と指が私を狂わせる。
涼太はもう1秒でも待てないと言うように性急に玄関のドアを開け、そのまま寝室へもつれ込んだ。
煌々と電気がついた部屋で、涼太は私のジャージのファスナーに手をかける。
「や、やだ、明るいよ……ッ! でんき」
抗議の声は再び重なった唇に遮られ、飲み込まれていった。
「ぅん、んん……」
あっという間に着ているものを剥ぎ取られ、何も身につけていない私を、興奮の色に染まった琥珀色の瞳が見下ろしている。
私の両手はいとも簡単に彼の左手に捕まり、頭の上でひとまとめにされ、腋の下まで丸出しにされた。
その熱視線はまるで肌の表面をジリジリと焦がしていくよう。
視線に、犯されている。
「や、やぁ……みな……い、で」
一言も発さず、荒い息のまま見つめられていると、視線が肌を突き抜けて内臓まで彼に晒しているような気持ちになる。
子宮がずくずくと疼き、身体はこの男性との性交を強く求めていた。