第13章 肌
あったかい。肌が、あったかい。
最初は、黄瀬くんの方が体温が高いと思ったけど、だんだんとどちらの体温か分からなくなってきた。
私……なんか興奮に任せて凄く大胆な事言った気がするけど……だって、離れたくなかったんだもん……。
セックスは怖がったくせに。
怖い、というと語弊があって、指が入ってきそうになった時、勝手に身体が硬直してしまったのだ。
黄瀬くんは怖くない。分かってるのに。
私だって、嫌なんて思ってもいなかったのに。
私の意思とは関係なく、身体が拒否していた。
そこからは頭の中に、映像や声が勝手にとめどなく流れてきて。
もう、どうにもできなかった。
泊まるなんて言って、絶対黄瀬くんも期待していたと思う。
それなのにこんな事になって、本当に最悪だ……。
でも勝手に身体が拒否、なんてどうしたらいいのかわからないし、絶対にそんなこと言えない……。
黄瀬くんの優しさにつけこんで、今は黄瀬くんの体温を堪能させて貰ってます。
「みわっち……明日、どうする?」
そうだ。明日はオフだった。
「黄瀬くん、足のこともあるし……外に行くにしても、歩き回らない所かなあ」
「日常生活はそんなに問題ないっスよ」
「大事にしておくに越したことないよ……」
「オレとどっか行きたいとこある?」
行きたい所、その単語でパッと浮かんだのは、駅のポスターに写っていた、夜空に咲く大輪の花たち。
「花火……」
「そう言えば、花火大会あったっスね」
「……を遠くからでいいから見たいかも」
「会場じゃなくて?」
「混むし、足に負担かかるからダメだよ」
「うう、厳しいっスね〜……」
「公園とかで、買ってきた花火を一緒にやる……なんていうのは?」
「おっ、それもいいっスね。じゃあ、明日は1日のんびりして、夕方から花火、しよっか!」
「わーい、楽しみ……黄瀬くんを1日独り占めだあ」
ふたりきりでいられる時間が好き。
黄瀬くん人気者だから、普段そんな時間全然ないし。
「ちょ、みわっち、今日はなんなの? オレを萌え死にさせたいの!?」
「くすくす、えー……?」
「今ももう、独り占めっスよ!」
「そうだったね……」
黄瀬くんの心臓の鼓動を感じる。
すごく、ドキドキしてる……