• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第63章 変化と進歩と計略と


「電話しても構わないよ」

「いえ、メールを返しておきます」

流石にこんな密室で個人的な電話をするのは気がひける。

"ごめんなさい。関越道が凄い渋滞で、立ち往生してしまっています。帰るの、遅くなるかもしれないので、今日は会うのやめておこうか"

送信……っと。

「気にしなくていいのに」

「いえ、大丈夫です。すみません」

数秒後、私のスマートフォンが激しく振動しだした。

涼太からの着信。

「え、ええ……なんで電話……」

「……構わないよ」

マクセさんは笑いをこらえながら言った。





「も、もしもし」

自然と声が小さくなる。

『みわ? まだまだかかりそう?』

「あ、うん……さっきから全然動いてなくて」

『何時でもオレ、待ってるから』

「え、明日でもいいよ。遅くなったら……」

『待ってる』

「……うん、わかった。また、連絡するね」

『みわ』

「うん?」

『……好きだよ』

「!」

プツッと、通話は切れた。






「ラブラブだな」

くっくっくっとマクセさんは笑っている。

「……子どもの、やり取りだと思いますか?」

「いや? 全く思わないな。
むしろこんな若い内から守りたいものが出来るなんて、羨ましい限りだ」

「そ、そうですか…」

そう言われるとそれはそれでなんだか恥ずかしい。

「家族の事は、黄瀬君には話しているのか?」

「……いえ、なんとなく言うタイミングが無くて」

「大事な人には言える内に言っておいた方がいいよ」

なんだか、実感の篭った発言だ。

「マクセさんは、ご結婚を……されているんですよね?」

彼の左手の薬指には指輪があるから、きっと奥様がいらっしゃるのだろう。

「いや、独身だよ」

「え?」

まさかの返答に、失礼ながら凄く驚いた声を返してしまった。

「あ、これから……される予定……なんですか?」

「ああ、これかい?」

ハンドルから左手を上げた。
宝石こそついてはいないが、キラキラしてキレイな指輪だ。




「……結婚前に亡くなってね」




「え……っ」

「あの時から俺の人生には光が無くなった」






/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp