• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第63章 変化と進歩と計略と


「ありがとうございましたー!」



監督や選手の皆さん、体育館や合宿所などにそれぞれご挨拶周りをし、ようやく帰路に着く事が出来そうだ。

あの日、一緒にテーブルでお話をして下さった方々からは、お酒を飲ませてしまって…と謝罪されてしまった。

まだ少し頭は痛いけれど、すぐにこれも治るだろうから、私はもう気にしていない。

それよりも朝の涼太の電話の方が気になっていて、思わず頬が熱くなった。



新潟県にあった合宿所は、関越道を通ればそれ程長い時間もかからずに行く事が出来る。

行きもそれほど時間はかからなかったはず。

きっと、今日も日が変わる前にはちゃんと帰り着けるだろう。

行きと同じように、マクセさんが運転する車の助手席に乗せて貰った。

どうやら外車らしいこの車は、見た感じも高そうだ。

大人の男のひと、って感じだなあ。
自分の周りの大人の男のひとといえば、お母さんの恋人くらいしか……。

自ら嫌な記憶を引き起こし、落ち込んだ。



結局、マクセさんからの課題には答えが出せていないまま。

マクセさんとは、今日は殆ど会話もない。
朝、涼太が言っていた事が気になっていないと言ったら嘘になるけど…。

「……キミの目標の件」

「は、はいっ」

突然話しかけられて、つい大きな声で返事をしてしまった。

「これからの人生に絶対に必要になる事だ。
別に、俺に報告する必要はないが、よく考えて結論を出して欲しいと思う」

「……はい」

「答えたくないなら無理には聞かないが、キミは特殊な家庭環境の中にあったのかな?」

「え……」

「こんな言い方はしたくないが、キミのその思考は、家庭内で何かあった子のそれだよ」

「…………」

「ごめん、踏み込み過ぎたな」

「いえ……こちらこそすみません。私、記憶がないので」

「え?」

「記憶がないんです。家族に関しての、記憶が」





気付けば、前はテールランプとブレーキランプの海だ。

チカチカと点滅する赤い光が、私に発する警告のように感じた。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp