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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第63章 変化と進歩と計略と



「う……」

頭がずっしりと重く、痛む。
胸も何かが詰まったかのように、気持ち悪い。
なんだろう、この不快感。

風邪とは違う感覚だ。

昨日……レストランで、皆さんと食事していて……それから?

……なんか、記憶がぐちゃぐちゃだ……。

マクセさんとの勉強会はどうなったんだっけ……。

ああ練習、最終日だ……お風呂、入らなきゃ……。

重い身体を起こし、着替えを探そうと自分のボストンバッグがある場所に目をやるが、そこには何もない。

あれ?

おかしいな、確かここに……

目線を動かして、ようやく自分以外の気配に気付く。

「え……っ?」

マクセさんが、テレビの前の机に突っ伏して眠っている。

待って。
もしかして。

ガバッと起き上がり、辺りを見回すと男物の黒いカバンが目に入った。

ここ、マクセさんの部屋だ。

……私、昨日勉強会の途中に寝てしまったんだ!

記憶がないのが不可解ではあるけど、辿り着いた結論に気分がすっきりした。

頭は変わらず痛む。

ベッドの上には筆記用具とスマートフォンが散乱している。

相当眠かったんだなと昨日の自分を恥じるように、いそいそとそれらを拾い、ベッドを下りた。

マクセさん、ずっとこの机で寝ていたのだろうか。
身体、痛くなってしまうよね。

「……マクセさん、すみません。ベッドに……」

肩に触れて軽く揺すると、まるで水揚げされた魚のように身体をびくんと震わせてマクセさんは目を覚ました。

「あ、ああ……すまない……」

「いえ、私こそベッドを占領してしまって、申し訳ありませんでした!」

マクセさんはイスを立つと、冷蔵庫からペットボトルを取り出した。

「昨日、何杯飲んだ?」

昨日……。
あ、あのオレンジの……。
なんだか次から次へと勧められて……。

「ハッキリと記憶はなくて……結構沢山ご馳走になってしまいました。5、6杯までは覚えているんですが……」

「あれはね、アルコール分こそ低いが、酒だよ。水を沢山飲んでおきなさい」

「え……ッ」

お酒?
訳が分からないままペットボトルを受け取る。

「迎えに行くのが遅くなって……悪かったね」

マクセさんが迎えに来てくれたのか。

「こちらこそすみません、昨夜の事全然記憶になくて……ありがとうございました」

「いや……俺の方こそすまない」





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