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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第63章 変化と進歩と計略と


やはり今日は飲み過ぎた。
最後の夜だと言うことで、他のトレーナーや監督達と少々羽目を外してしまった。

それが、まさかこんなことになろうとは。



指で優しく中を探っているが、彼女は黄瀬の名前を呟いてから、一切の反応を見せない。

微かに、寝息が聞こえている。
呼気のアルコール臭から、相当飲まされた事が想像できた。

先ほどレストランで彼女に飲ませ、性的な行為をしようとしていた彼らに強い怒りを感じた筈なのに、当人の俺が何をしているんだ。


先程彼女が黄瀬の名前を呼んだのは、恐らく俺の指を黄瀬と勘違いしたわけではない。

彼女は、こうして愛撫をしてくる相手は黄瀬以外には居るはずがないと、疑いもしていないのだろう。

最低な事をしているという罪悪感と、不可侵領域に踏み込んだという背徳感がない交ぜになっていた。

自分が与える快感には、どうやって反応するのだろうか。

喘ぎ声が聞きたい。



この指を激しく動かしたら起きるだろうか……そんな事を考えた瞬間、神崎のスマートフォンが激しく振動した。

咄嗟に指を引き抜き、スマートフォンを手に取るとバスルームに駆け込んだ。

何をそんなに焦っているんだ。
生半可な覚悟でやっていい事じゃないだろう。



手の中にあるスマートフォンを見ると、"黄瀬涼太"の文字。

熱くなった頭がすうっと冷めていくのを感じた。

「……もしもし」

『なんでみわの携帯にアンタが出るんスか』

噛み付かんばかりの声だった。
毛を逆立てて怒る動物ばりの。

「……すまない、俺の監督不行き届きで、みわちゃんが酒を飲まされてしまって」

『なんだって?』

「今、部屋まで送ってきたところだ」

流石に、自分の部屋でひん剥いて指を突っ込んでいた、などと言えるわけもない。


『アンタがそばにいながら、なんでそんな事になってんスか。
……アンタの事信じて、みわを任せたんだぞ』

自分の頭の中の警告なんかよりも、ずっと効く言葉だった。

「…………すまない」

心の中に後悔の念が拡がっていく。



「………………本当に、すまない」

『……みわの近くに居られるのはアンタしかいないんだ。
頼むよ。明日まで、ちゃんと……守ってくれよ』



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