第13章 肌
慌てて指を離し、顔を見る。
潤んだ目の中に、わずかに恐怖の色が見えた。
「ごめん、怖いっスか……?」
「だ、だいじょうぶ……つづけて……」
肩も声も震えている。
フラッシュバックしているのか。
「……オレは、みわっちを抱きたい。好き。大好きだから。
でも、無理矢理したいんじゃない。
ちゃんと、みわっちが心からしたいってそう思わないと、嫌っスわ」
「黄瀬……くん……」
「みわっち、無理しないで」
「……っ……声が、忘れられないの……みんな、みんな笑ってるの……やれやれって、脱がせろって、みんな楽しんでるの……アイツの時だって、そうだった……」
喉が切れてしまいそうなほど、絞り出したような声。
「笑い声が……耳から、離れなくて……黄瀬くんは、そうじゃないって分かってるのに……ごめんなさい……ごめんなさい……!」
この小さい身体に、どれだけの負担がかかっているのかを想像するだけで、胸が痛い。
「いいんスよ、オレ、待つから。ね?」
「私、最低……期待させるようなこと言って、黄瀬くんに我慢ばっかりさせて……嫌いに、なるよね……」
無理させてるのはこっちだ。
どうやったらこの気持ち、伝えられる?
オレ、こんなに、こんなにみわっちのこと、好きなんスよ……。
「ね、泣かないで。嫌いになんかなるわけない。
オレ、みわっちといるだけで、本当に嬉しいんスよ」
「黄瀬くん……好き……好き……好き、なのに……」
みわっちの声が耳の奥で甘く響く。
我慢するって言ったばかりなのに、容易にオレの理性を持って行こうとする。
ゆっくりと、この細い身体を腕の中に閉じ込めようとしたものの、目のやり場に困って、先ほど脱いだみわっちのシャツを渡す。
「あの……このままじゃ……だめかな……」
「ん?」
このまま、ってどういう事っスか?
「あの……くっつきたいな……って……き、黄瀬くんも……服、脱いで……?」
うぉえええええええ
マジっスかああああ?
「そ、それって……裸で抱き合う、ってコトっスよね……?」
「……無理ならいいの。ごめんね、変なこと言って……」
嫌な訳ない。嫌な訳がないのだ。
でもオレ……今、メチャクチャ勃ってるんスよ〜!!