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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第63章 変化と進歩と計略と


合宿2日目。

今日は、試合形式がメインの練習だった。

相手チームは『黄瀬涼太封じ』のスタイルをとった戦法で攻めてきた。

トーゼン、高校バスケでもキセキの世代であるオレを封じようというのは、まず間違いなく相手チームがとる、最も真っ当な戦法である。

それはオレがいる以上、チームとして絶対に越えなければならない壁なんだ。

チームとしてのレベルも、個人としてのレベルも高い大学生チームとの対戦に、パーフェクトコピーを駆使しながらもオレたちは苦戦した。

でも、そんな中でも一瞬、ほんの一瞬だけいつもと違う、研ぎ澄まされた感覚になり……。

オレは、確実に『ゾーン』に近付いた手応えを感じた。

ゾーンに入るには、トリガーとなるものが必要だという。

あと一歩、何かが足りないんだ。

夏までに、それを掴めるか。

でも、今日ここで得た感覚は絶対にこの先活きる。

こんなまたとないチャンスを貰えた事に、心底感謝していた。

新しいチームのぎこちなさも、だいぶ和らいできた。

マネージャーも今日はやる気だ。

ああ、バスケが最高に楽しい。






『ほんと!?』

今日のゾーン一歩手前の話をすると、みわは自分の事のように喜んでくれた。

「バッチリ収穫アリっスよ。明日、帰るからね」

『会いたかったなあ。私はね、明日の朝出発だから……まだ暫く、会えないね』

「そっか……」

オレたちは2泊だが、みわの参加する合宿は4泊だ。

相手はオトナ……。
みわは、そんな男達に囲まれて、オレのことをやっぱりガキだなと思うだろうか。

そんなどうしようもないことが時々怖くなる。

「みわ、何かあったらすぐ連絡して。
あとは気に食わねーけど……問題があったらマクセサンにも頼るんスよ」

「ふふ、珍しいね」

みわの一番近くに居られる大人は彼しかいない。

あー、心配……。

『お風呂はもう、入ったの?』

「ん、入ったっスよ。あとはストレッチして寝るだけ」

『冷やさないようにね!』

「ハイハイ」

いつものやり取りに癒された。




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