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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第62章 卒業


「あら! 黄瀬さん、わざわざありがとう」

みわのお祖母さんが杖をつきながら玄関口に顔を出した。

「どもっス。足、どうスか」

「全然心配することないのに、この子は心配性だから……」

「ほら、おばあちゃん中にいてよ!
そこ段差、気を付けてね!?」

「ほら。はいはい、分かりましたよ。
黄瀬さん、ご飯食べて行ったら?」

「あ、いや、お邪魔なんでいいっス」

「食べて行くと思って作ってしまったんだけど……」

「……ありがたくごちそうになるっス」

お祖母さんの方が相変わらず一枚上手だった。





「え、涼太……おばあちゃんのお見舞いに行ってくれてたの?」

みわが煮た金目鯛に手をつけた。
今日の夕飯はなんて贅沢。

「うん、時々だけど」

オレが食べているのは、以前も頂いた事のある煮物。
ほっくりと煮えているじゃがいもが美味しい。
みわもよく作ってくれる。

「なあんだ……言ってくれれば一緒にお見舞い行ったのに!」

「ふふ、ばあちゃんが黄瀬さんとふたりきりになるのは駄目かい?」

「だ、ダメじゃないけど……」

みわが照れたように下を向いた。

「みわはヤキモチやきだからねえ」

「おっ、おばあちゃんにヤキモチなんて妬いてないもん!」

お祖母さんと話す時のみわは、いつもの学校でのみわとはやはり違って、高校生らしい口調で可愛らしい。

やはり、外と家庭では安心感が違うんだろうな。

彼女が、外でどれだけ気を張っているかを知っているから。

自分は、彼女が楽で居られる存在で居てあげたい。



「……ごちそうさまでした」

食事が終わって食器を下げると、お祖母さんがお茶を淹れてくれていた。

「黄瀬さん、急いで帰らなくていいんでしょう?」

「あ……ハイ、特に予定はないっス」

「じゃあ少しお茶飲んで行って」

「はい、イタダキマス」





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