第13章 肌
「いただきます……」
静かにお茶を啜るみわっち。
腫れた頬。押さえつけられた時に手首についた、指の跡。
胸が、痛い。
ごめん。ごめんみわっち。
「……黄瀬くん? どうしたの、じっと見て」
「みわっち……本当にごめん。オレ、もう許して貰えないかもしれない。ごめん。ごめん。ごめんッ……」
深く下げた頭に、柔らかい感触。
一瞬、何かと思ったけど……みわっちが、オレの頭を優しく抱き締めてくれている。
「来てくれて、ありがとう。怖かった……あと少し遅かったら、私……」
細い身体は、小刻みに震えている。
「……触られたのが……気持ち悪くて……お、お願いっ……考えたく、ないの……っ」
か細く、途切れそうな声。
オレでいいのか。こんなオレで。
オレのせいなのに。
ゆっくり頭を上げて、みわっちと目を合わせる。
涙目のみわっちは、静かに目を閉じた。
オレの、大好きな人。
オレのせいで傷つけて、ごめん……ゆっくり、ゆっくりとキスをした。
舌は入れない。
今日は、激しいことはしたくない。
「ん……」
唇で、唇を優しく愛撫する。
どれ位の時間、そうしていただろうか。
「はっ……あ」
みわっちが、少し舌を出した。
首に回した手に、力が入る。
「黄瀬、くん……」
「みわっち、どしたの……?」
「深いの……して……」
控えめなその一言に、オレの心臓が跳ね上がる。
止まるかと思った。
抑えてるのに。
なんでそんな可愛いこと言うんスか……
少しだけ主張した舌に、オレの舌を絡める。
いつもより柔らかく、口内を隅々まで愛撫する。
「あっ……」
みわっちの声が、甘くなってきた。
「……どこ……触られたんスか……」
聞くことで、嫌な記憶を思い出させないか。
このまま、進めていいのだろうか。
「む、むね……とか」
ダメだ。怒りが頭を支配する。
許さない。オレのみわっちに。
唇を、耳に移動する。
「……触って、いいっスか……」
ピクリと反応したみわっちは、確かに微かに頷いた。
首筋に舌を這わせながら、ブラジャーを外した。
「ん……っ」