第62章 卒業
「も……もーあき、それじゃあ間違えて渡したってこと? 勘弁してよ……」
よりにもよって涼太と観てる時に。
自分ひとりならまだしも……。
「いや、わざとだと思うっスよ?
ふたりで観て、盛り上がれって事じゃないんスか」
涼太が信じられないようなことを言う。
「ふ、ふたりで!? こういうのって、ひとりで観るものじゃないの?」
……なんでこんな論議になっているんだろう。
「まあ、普段はひとりでスる時に観るだけっスけど……みわ、興奮した?」
「し、しないよ!」
「なぁんだ。……じゃ、も少し観る?」
涼太はふわりと私の髪に触れ、上目遣いで目を合わせてくる。
さっきの画面内のふたりよりも、目の前の涼太を見ている方がずっと……興奮する。
「も、もう……観ない」
「ふぅん、つまんないっスね」
"つまんない"にドキッとした。
私、つまらない女?
「涼太は……観たい、の?」
「みわとなら、観たいかな」
「……じゃ、じゃあ……観る……」
なんか一瞬、涼太がワルイ笑顔になった気が。
「ちょっと失礼」
「!」
涼太が私の後ろに回り、すっぽりと私を包み込みながら座った。
「ソファの代わりに、オレに寄りかかっていいっスよ」
そ、そ、そう言われても……。
「あ」
涼太がリモコンを取って、ピッと再生ボタンを押した。
映し出される女の子の陰部。
「おお、あきサンこれ、無修正っスね」
「無修正って……ナニ?」
「大体、局部はモザイクになってるもんなんスよ。これはホラ、丸見え」
彼氏とふたりで知らない女性の陰部を見ているという謎のシチュエーション。
女性器は……とにかく、なんていうか、グロい。
自分のですらマトモに見た事がないのに……私のも、こんな風になっているんだろうか。
男性の指が、入っていく。
なんの抵抗もなく呑み込んで行くソコに、釘づけになってしまっていた。
AVがいやらしいとかそういうのじゃなくて、普段涼太に自分のココを見られているんだという事実に、眩暈を起こしそうになった。
いつもいっぱいいっぱいで、考えた事もなかった。
口で……してくれる事もある。
なんて恥ずかしい事をしているんだろう。