第62章 卒業
ま、待って。
私、このDVDを再生してから、居眠りした?
突然ふたりがキスし出したように見えたんだけど……。
え?
どうして?
なんか残業が大変だったって話をしていたよね?
まだ話終わってないよね?
どうして突然キスになるの?
いや、でも涼太も突然してくる事があるけれど……じゃなくて、そういうんじゃなくて、これは映画なんだから、もっとストーリー的な……
ちらりと涼太を見る。
涼太は特に違和感なく見ているようだけど……。
もう少ししたら、ちゃんとストーリーを把握出来るようになるかな。
パッと画面が切り替わり、女の子は既に組み敷かれていた。
……って、え?
どうしていきなりベッドルームになっているの?
今、リビングにいたよね?
そんな話をしていたっけ?
女の子のシャツが脱がされていく。
涼太と、違う脱がし方だ……。
涼太はもう少しキスしながら、ゆっくり……って、何考えてるの。
シャツはさらりと脱がされ、ブラジャーも取られ、女の子の乳房が露わになった。
……やっぱりちらりと涼太を見てしまう。
目が合って、にこりと微笑まれた。
映画だけど……他の人の裸を見て欲しくないというか……ああ集中出来ない。
画面内で再びキスを始めたふたり。
信じられない事に、画面は陰部を映し始めた。
ショーツを履いているから、丸見えなわけではないけれど……。
男の人が指でそこをいじり、ショーツに段々とシミが出来て……
女の子のショーツが脱がされたところで、堪らず停止ボタンを押した。
「どうしたんスか?」
涼太はくつくつと笑っている。
「な、なんかこの映画、へ、変かなって。あの、うん、変だよね?」
「そうっスねえ……まあこんなもんじゃないっスかねえ」
涼太はずっと笑っている。
私は笑いどころがまだ掴めていない。
「ねえ、涼太なんで笑ってるの?」
「ごめんね、みわ。これ……AVなんスわ」
「……は?」
AV?
この場合は、オーディオビジュアルではなく、あ、ああ、あだると……
「ええ!? ……AVってこう、金髪のお姉さんが……って、そういうのじゃないの?」
「まあ、色々あるっスけど……これは女の子向けっスねえ」
女性向け?