• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第62章 卒業


オレとみわが謝恩会会場に着いた時、既に殆どの部員は集まっていた。

普段はどのような営業スタイルかは知らないが、パーティー用に立食形式になっている。

「おー黄瀬、なんか飲めよ」

バイキングコーナーで皿に唐揚げを盛っていた笠松センパイがオレに気付き、アイスティーを注いでくれた。

「あ、オレが先にセンパイに注がなきゃいけなかったっスね、スンマセン」

「柄にもなく気ィ遣ってんじゃねーよ」

「ヒドイ!」

もう、すっかりいつもの雰囲気だ。
……笠松センパイが皆の前で涙を流すのを、今朝初めて見た。

「……卒業おめでとうございます」

「……おー」

「センパイ、バスケ続けるんスよね」

「まあな」

「明日からウチの練習来てくれるんスか?」

「いや、明日はもう大学の方のチームに顔を出す予定。小堀と一緒に」

笠松センパイ、小堀センパイは同じ大学に進む。

森山センパイだけは違う大学へと進学だ。

「そっスか……」

「オマエ決めてんの、卒業後の進路」

「いやー……正直、まだハッキリとは……。
でも、目的はぼんやり見えてきたっス」

「まあ、まだ時間はあるしな」

「でも毎日バスケしてたらあっという間っスよ」

「全くだな」

少しワルイ笑顔は相変わらずだ。

きっとこの人は、大学に行っても持ち前のキャプテンシーを発揮しまくって、輝き続けるんだろう。

バスケ選手にしたら小柄な178㎝のセンパイは、コートの中では誰よりも頼りになる。

オレもそんな選手になりたいと思った。



「おう小堀、こっち来いよ」

笠松センパイに声を掛けられ、オレンジジュースを持った小堀センパイが向かって来た。

「おい笠松ー!」

「ああ、今行く。黄瀬悪りぃ、またな」

保護者のお母様方に囲まれた森山センパイに呼ばれ、笠松センパイは去って行ってしまった。

思いがけず、小堀センパイとふたりきりだ。

「黄瀬、お疲れ」

「お疲れ様デス」

「……悪かったな」

センパイはぽつりとそう言って、ジュースに口をつけた。

……それは、まあ……
さっきのみわとの事っスよね。

「本音としては一発ぶん殴ってやりたい気もありますけど、みわのお願いなんで、やめておくっス」

「……そうか」

簡易ステージでは、1、2年での催し物の準備が行われていた。



/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp