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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第62章 卒業





「小堀先輩!」

まだ芽吹いていない木々達を愛しく見つめるように、長身の小堀先輩は体育館裏に佇んでいた。

「神崎」

「お待たせしてすみません!」

「いや、こちらこそ突然呼び出したりしてごめん。……黄瀬は?」

「あ、黄瀬くんは教室で待って貰っています」

「……そっか。……神崎、これ」

先輩が取り出したのは、小さな箱だった。
水色の包みに、黄色のリボンがかかっている。

「……えっと、これは……?」

「ホワイトデーのお返し。
14日には多分、来れないと思うから」

ホワイトデー。
当日までにはまだ大分日がある。

元々、先輩方からお返しなんて貰おうと思っていなかったのに。

「わ……かえってお気を遣わせてしまって、申し訳ありません! ……ありがとうございます」

遠慮して受け取らない方が失礼だと判断し、ありがたく受け取る事にした。

「……神崎」

「はい!」




「……好きだった。ずっと」



「……え?」

先輩の言葉の意味が掴めず、一瞬惚けてしまう。

「黄瀬と別れて、俺と付き合ってくれないか?」

次に言われた言葉が更に衝撃すぎて、反応が出来ない。

「……って何度も言いかけた。でも、神崎が黄瀬を好きな事……分かってたから、言い出せなかったんだ」

ずっとって……

「そ、そんな、いつから……」

小堀先輩は柔らかい微笑みを浮かべたままだ。

「いつからだったかな……神崎が、バスケ部のマネージャーになってくれた日かな」

そんな……。

全然、知らなかった。

気づかなかった。



「……ごめんね。困らせるつもりは無かったんだ。ただ、ちゃんとお礼は言っておきたくて」

「お礼……?」

「神崎と過ごした時間、俺はとても充実してた。楽しかった。ありがとう。
黙って卒業するつもりだったけど、やっぱり最後に想いだけは伝えておきたくて」

「先輩……」

「ごめんね。困らせるつもりはなかったんだ。
最後に、ひとつ頼みがあるんだけど、いいかな……?」





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