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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第62章 卒業


"神崎!!"

"ハイッ!"

頭に浮かぶのは、皆が笑ってプレーしている姿。

皆の笑顔。

涙。



私、ここのマネージャーをやる事が出来て、本当に嬉しい。

あの先輩方と一緒の場所に立てたことを、こころから誇りに思う。


「……」


別れの歌を口ずさみながら、
今のうちに、泣いておこう。


「ふん、ふ……ん…………っ」


そうして、笑って見送るんだ。

大好きな、先輩方を。


「ふっ……うう……」


別れじゃない。

新しい、はじまりなんだから。






「神崎」


優しい声が耳に届く。

聞き慣れた、声。

あぁ、頼りになる声だ。


それに続いて、沢山の人の気配。


こんな顔を見せてはいけないと分かっているのに、私は名前を呼んでしまった。


「かっ……かさまつ……せんぱい……」

「泣きすぎだろ、オマエ」

いつもの不敵な笑みを浮かべる元キャプテンと先輩方の後ろには、彼らを慕い続けている後輩達がいた。

皆、鼻頭が赤くなっている。

「泣いてんじゃねーぞ、神崎」

「こぼり、せんぱい……もりやま…せんぱい…」

ひとりひとり、3年生の先輩方全員の名前を呼ぶ私を、誰も止めなかった。

「1年間……」

笑顔で。

「ほんとうに……」

笑って。

涼太も先輩の後ろで堪えている。

「あ、ありが……」

せんぱい……

せんぱい……



「せんぱい……そ、卒業しないでください……」

「神崎……」

「まっ、まだ、わたしたち、せんぱいに優勝トロフィーを、みせられてないです」

「……そうだな」

「ま、まだ、せんぱいたちから教えていただきたいこと、いっぱいあります」

「……そうか」

「まだ、みんなで、一緒にバスケ、したいです……」

「……本当にな」

そう言った笠松先輩の目からは、涙が零れていた。

「勘弁してよ、みわ。オレ泣かねーように、頑張ってたのに……」

「黄瀬はもうだいぶ前から目が赤かったぞ」

「ぜんばいぃぃぃい!! お(れ)も!! ざびじいっずゔゔゔゔ!」

「早川、うるせー……」

森山先輩も、小堀先輩も泣いていた。

「オマエら、すげー顔……」

笠松先輩がそう言って、皆で笑いながら泣いた。



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