第61章 恋人達は愛に誓いを
赤い頬にとろんと蕩けた目、半開きで潤った唇、伏せ目がちの瞳を覆う睫毛は微かに揺れている。
カッと頭が熱くなり、気が付いたら彼女の手を強く引き、建物の陰で抱きしめていた。
「……なんで? その顔、誘ってんの?」
「えっ……誘っ……違うよっ……。
涼太がいきなり手、繋ぐから……」
え、ホントこの子何言ってるの?
思わず抱きしめた身体を離して、顔を覗き込んだ。
「……えっと……昨日もオレとエッチしませんでしたっけ……?」
「っ、そういう風に言わないで……!
涼太は、えっちなことしたら手を繋いでドキドキしなくなっちゃうの……?」
……えっと……。
「いや、ドキドキっつーか……嬉しいっスよ」
こころがほわっとして、嬉しくなる。
それは確かに、付き合う前とは違う感覚だけども……。
「ど、どんなことしてたって、ドキドキするものはドキドキするの!!」
えっと、それはつまり……
「……みわ、いまだにオレと居てずっとドキドキするってこと、だよね?」
「な、に言ってるの……するに決まってるじゃない……」
ヤバい。
今の表情で完全に火がついた。
みわの後頭部をしっかり支えて顔を近づける。
鼻も口もぶつかりそうな距離で寸止めすると、まるでトマトのような頬や耳が目に入った。
「……ドキドキする?」
目が合う。みわの目の奥にオレがいる。
艶があって、汚れの無いキレイな目。
このまま、吸い込まれそうだ。
これから自分でしようとしている事に、胸が高鳴る。
「だっ、だから、近いって……」
「あー……オレも……ドキドキするっスわ……」
唇を唇で撫でるように、啄むように合わせる。
冷たいけれど、ふわっとした感触。
「んッ……」
ドキドキというかムラムラという気がするけど……。
「みわ……舌、舐めたい」
きゅっと結ばれた唇を説得するかのように、舌先で刺激した。
「っ、ふぁ」
荒い呼吸の合間に浅く開いたタイミングを見逃さずに、舌を滑り込ませる。
「んあ、りょ、ぁ」
「みわ……もっと……」
冷えていく指先も気にならず、重なり合って熱くなった唇の熱だけを感じていた。