第61章 恋人達は愛に誓いを
「あ……も、声が……」
「嗄れちゃったっスね、いっぱい喘いだから……」
「……涼太のばか……」
結局朝方までずっと、抱き続けてしまった。
そこからオレたちは爆睡し、午後からの練習に危うく遅刻するところであった。
日曜日の昼間は、この辺りは家族連れが多い。
小さなバケツを持って楽しそうにしている子どもとその子の両親である夫婦が、幸せそうな笑顔を浮かべてすれ違っていった。
「みわ、そういえばこないださ、オレのトレーニングに来てくれた人いたじゃないスか」
「うん、元全日本の選手の方って聞いてたけど……なんて方?」
「んー、なんか枕みたいなそんな感じの名前だった」
「ええ、何それ」
「……みわと、話がしてみたいとか言って……名刺預かったんスけど……」
連絡取られるのが嫌で、ずっと渡してなかったわけだけど。
「まあ、会わないっスよね?」
「会いたい!」
めちゃくちゃ被せ気味に言われた。
「え、なんでっスか?」
「だって、ちゃんとしたプロのひとからお話聞けることって滅多にないし……」
でも、ダメっスよ。
手が早いもん絶対アイツ。
「……名刺、ちょっと見当たらなくて。あったら渡すっス」
「なんだ、そうなんだ……。分かった、もし見つかったら教えて!」
こんな可愛い子がマネージャーだって知られたら、何するか分かんねーし。
でも、流石にずっと言わないのはフェアじゃない気がして……。
結局隠してるんだから、同じかもしんないんスけどね。
そんなオレの企みも虚しく、体育館に入ったオレの目の前に、彼はいた。
「……なんで……」
「お、黄瀬君久しぶり。近くを通りかかったから、寄ってみたんだ」
どうやら彼は、カントクと個人的に仲がいいらしい。
……みわ、今日はお見舞いで休んだり……しねぇっスよね……朝一緒に出てきたんだし……。
「おはようございまーす!」
いつもの明るい声で、みわが体育館に入ってきた。