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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第12章 夏のはじまり


「な、なんでもない……ごめんなさい」

私、本当にみっともない。恥ずかしい。
敵うわけないのに。

目を合わせられず、俯いた。

「みわっち」

後ろから抱き締められて、ふわりと……彼の香りが鼻腔を擽る。

「昨日は、アリガト。オレ1人じゃ、眠れなかったかもしんない……」

笠松先輩の疲れた顔を思い出した。
先輩はよく眠れてないのかもしれない。

「みわっち、ごめんね。みわっちの近くにいるのがオレじゃなく青峰っちだったら、こんな悔しい思いさせなくて済んだのに……」

え?

「……っ黄瀬くん、何言ってるの? 私は、黄瀬くんだから……海常の皆だから、一緒に頑張ってこれた。一緒に居たいと思った。
黄瀬くんじゃなきゃ、皆じゃなきゃ意味ないよ!」

「……その言葉、そのままみわっちに返すっスよ」

「……え?」

「桃っちなんか関係ねー。みわっちが、オレの側にいてくんなきゃ」

「……黄瀬、くん」

なんてゲンキンなんだろう。
その言葉で、嫉妬で汚れた醜い心が優しく溶かされた気がする。

「あっ……」

黄瀬くんの唇が、うなじに触れた。

「……オレの家族、旅行がてらIH観にきてて。
暫くウチ、誰もいないんス。明後日の練習終わったら翌日オフだし……ウチ、泊まりに来ないっスか」

その……お誘いは、つまり。

気のせいかもしれないけど、少しだけ、黄瀬くんの手が震えてる?

緊張がうつって、声が出なかった。
小さく、頷いた。

「オレたち、先に神奈川帰るけど……みわっち、帰り気をつけてね」

……『続き』、するんだ。
私、黄瀬くんと……。


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