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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第12章 夏のはじまり


「みわちゃん、私は貴女のデータもちゃんと持ってるよ」

「……え」

「頭脳明晰で呑み込みが早く、一度見た事は殆ど忘れる事がない。素直で真面目な性格。
ひとり暮らしが長く、差し入れのレベルが高い。部員の好み、ほぼ全てを掌握する。
バスケを覚えたのは高校からなのに、努力で得たテーピングやマッサージの腕は確かなものになりつつある。
情報収集に関してはまだ駆け出しだが、着眼点がよいとのことで高評価を得ている。
そして、私生活でもエースを支える唯一の存在。……まだまだあるけど、聞く?」

「いえ……結構です……」

いつの間に。
自分まで分析されているなんて、思ってもみなかった。
過大評価されている気がしてならないのだけれど……。

「貴女も、きーちゃんみたいに、まだまだ進化する。そうなるって分かる。
冬、またやれるといいね」

「……望むところ、です……」

「……で、連絡先教えて! マネージャー同士、たまには一緒にお茶しよう!」

「……え? あ、ハイっ」

……何故か勢いに負けて、桃井さんの連絡先をゲットしてしまった。



思いがけない出会いのあった散歩を終え、部屋に戻る。

ベッドに腰掛け、横たわる黄瀬くんの顔を覗き込むと……
目が合った。

「き、黄瀬くん、起きてたのっ?」

「んー、今ちょうど、目が覚めたとこ……みわっち、どこか行ってたんスか?」

「ちょっと外の空気を吸いに……」

"きーちゃん!"

桃井さんの声が頭の中でこだまする。

「……きーちゃん……」

「うわ、その呼び方桃っちみたいっスね……どうしたの?」

「外で……会って……」

「そうだったんスね。桃っち、元気だったっスか?」

「……うん……黄瀬くん、……桃井さんのこと、好き?」

「へ? なんでっスか? 嫌いとかじゃないっスけど……」

「だ、だって、昔の黄瀬くんを知ってるし、美人でスタイルがいいし、可愛いし、マネージャーの仕事も完璧だし……ッ。
あんな人が、うちにもいたら、絶対……っ」

「……みわっち? もしかして、ヤキモチ妬いてるんスか?」

「……っ」

自分でも分かる。今、顔真っ赤だ。
恥ずかしい。こんな言いがかりみたいな事。



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