• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第61章 恋人達は愛に誓いを


「……ケーキ、食べられる?」

「勿論っスよ!」

片付けも終わり、ダイニングテーブルでお喋り。

穏やかで、とても落ち着く時間。
毎日起きるようななんでもない事を、こうやって話せる関係。

すごく、嬉しい。

特別なデートで、特別な夜を過ごすというのも素敵な事だけれど、"日常"を一緒に過ごせるというのが何よりも嬉しいんだ。

そう、だってこれって……。





「じゃあ、冷蔵庫から出すね。紅茶でいいかな」

「うん。……みわ、3年生にチョコレート、あげたんスか?」

「うん? あ、まだ渡せてないんだ。月曜日に渡す予定だよ」

「皆と同じやつ?」

「同じだよ。どうして?」

「……いや、なんでもないっス」

涼太は結構、3年生に関してこういう風に聞いてくる事が多い。

なんか気になる事があるのかな?

「ふふ、学年で大きさを変えたりしないから、大丈夫だよ。平等平等」

「そっスか……」

意外に子どもっぽいところ、あるんだから。



「はい、涼太……どうぞ」

涼太の前にケーキを置く瞬間、どんな反応だろうと心臓がバクバクする。

「うぉ」

「ミロワールショコラに初めて挑戦してみたんだ……お口に合うといいんだけど」

「すげぇ、このツヤッとしたチョコが美味そう! 店で売ってるヤツみたいっスね!」

「ミロワールって、"鏡"って意味なんだって」

「へぇ……すげー……」

涼太はフォークでつんつんと表面を確認している。

「ねえ、この上に乗ってるバラみたいなのはなんスか?」

「あ、それも作ったの。食べれるよ。あの……クリスマスローズをイメージ、したんだ」

……こだわりすぎって言われちゃうかな。
なんだか凄く、恥ずかしい。

見た目は崩れず汚れず、上手くできたと思う。

「みわってスゴイんスね」

「いや、レシピ調べて作っただけだから! 持ち上げすぎないで!」

涼太はケーキの写真をスマートフォンにおさめてから、スッとケーキにフォークを通した。

本当に愛しいものを見るような目で一瞬ケーキを見つめながら、フォークを形の良い唇と唇の間へと運んだ。

……お味はいかがでしょうか。

そう聞くよりも先に、涼太が破顔した。

嬉しそうに、幸せそうに食べてくれるのが何よりも嬉しかった。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp