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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第61章 恋人達は愛に誓いを


「たっ、タダイマッ」

思いっ切り声が裏返った。
ここに帰って来るのも、久しぶりだったから……。

「お帰り、みわ」

笑いを堪えきれていない涼太が、リビングのドアを開けて迎えてくれる。

……またからかわれそう……。

キッチンでは既に何かが作られている。

「ごめんね、遅くなっちゃって」

「いいっスよ、今日は貰ってばっかりだから、夕飯くらいオレが」

涼太がフライパンに向かっている間に、こそこそと冷蔵庫にケーキを入れる。

……クスクスと笑われてる気もするけど……。

「私手伝うよ」

「もー終わるから平気っスよ! ハイ座って座って」

……バレンタインなのにどうして私がおもてなしされてしまっているんだろう……。




「涼太くんの根菜黒酢あんかけ定食っス!」

「わあ、美味しそう!」

「こないだ入ったお店で食べたのが美味しかったから、やってみたかったんスよね」

……涼太、主婦なの?

でも、いつも洋食派の涼太がこういう和風の料理を作ってくれるのって、珍しい。

なんだか……嬉しいな。
自分が少しでも彼に影響を与えてるように錯覚しちゃう。


「お風呂も沸いてるっスよ」

「……何から何までスミマセン……」

涼太の料理は、本当に美味しい。
男性らしく、ちょっと味付けが大振りなところもあるけど。

「んー、美味しい!」

つい頬が緩んでしまう。

ふと視線を感じて顔を上げると、涼太が優しい微笑みでこちらを見つめていた。

優しく緩んだ瞳に、少し下を向いた睫毛。

普段学校やコートで見せる無邪気な微笑みではない、もっともっと……ベッドにいる時のような、無防備な表情。

色っぽい……。

……

ええい、煩悩退散!!

「あの、食後に……チョコレートケーキがあるの……」

「楽しみにしてるっスよ」

涼太はいつも、ニコニコと余裕で。
なんだか、悔しい。

今日は、私が……。


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