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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第60章 お互いの


その後はいつも通り、ダイニングテーブルでふたり、食事を取った。

「んで結局、今日はどうしてもお祖母さん家に泊まるんスか?」

「うん、明日ゴミの日で出さなきゃいけないのがあって。着替えもあっちだし……」

それに、悶々としすぎて今日はなんかダメだ。

さっきからずっと涼太の一挙手一投足が気になってしまって仕方ない。

「今度、オレもそっち泊まってもいい?」

「あ、うん、いいと思うけど……おばあちゃんにも一応、聞いておくね」

結局、クリスマスローズは置いていくことにした。
みわの住む家はここだと、言ってくれたから。

時々おばあちゃんの家に泊まる事も分かってくれたみたいだし、協力もしてくれるみたい。

いつまでもこのままいられるとは思わない、けど。

私の居場所、まだ……あった。
ほっと、こころが楽になった感じ……。





「じゃあ、また明日ね」

「待ってみわ、送る」

涼太がコートを羽織りながら玄関に向かってくる。

その動きひとつとっても格好いいんだから、本当にずるい。

ずるい。

エントランスで、またSariさんとすれ違った。
どこかに外出していたのかな。
質の良さそうな毛皮のコートに、黒いパンツと赤いパンプス。

ドラマに出てくる女優さんみたいだ。
あ、モデルさんなんだから当然か。

「あらおふたりさん……会いたいと思っても会えないものなのに、この遭遇率ってすごいわよね?」

「会いたくないって思ってるから、会うのかもしんないっスね」

涼太は一貫してこの態度。

「アハハ、リョウタは相変わらずね」

「オレたち、急ぐんで」

「リョウタ、みわちゃん。あたし、欲しいと思ったものは何が何でも手に入れないと気が済まないの」

「……何が言いたいんスか」

「んーん、それだけ。またね」

「……」

涼太の腕が私の肩に回され、庇われるようにしてその場を去った。



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