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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第60章 お互いの


「……みわ」

あれ……私、今なんて。

今、なんの言葉が口から零れた?

ごめんなさいって、ちゃんといった?




「うん、オレもっスよ、みわ」

優しい声で、耳がじんと痺れる。

好き。好き。この人が。
どうしたらいいの。離れられるわけ、ない。

別れたくない……


「みわ……やっぱり、言わなきゃ分からないことだらけだと思うんスよ」

涼太の指が、髪を梳く。
いつもと変わらぬ優しさで、とても心地いい。

「オレもみわの事がめちゃくちゃ好きだけど、それでもみわの考えている事が分からなくなる時がある」

涼太の指が首元に触れ、ネックレスがしゃらんと音を立てた。
そこにあるのを確認しているみたいに。

「うん……」

「みわがちゃんとオレの事好きで居てくれてるのか、不安になる事が……ある」

それは私も、自信なんか持てない。


「だから、これからはちゃんと、言い合おう」

「これから……?」

「これから。これから先は、ちゃんと言って。オレも、ちゃんと言うから」

「先……」

「みわが思ってることも、ちゃんと聞かせて」

「私と涼太に、これからがあるの……?」


涼太がグッと力を入れて私の頬を両手で挟み、ぐるんと後ろを振り向かせられた。

「ちょっと。聞き捨てならないんスけど。
みわは、オレとのこれからがないと思ってたんスか?」

一旦おさまった涙が、また溢れ出す。

「おもってた……も、もう、終わりだって」

「勘弁してよ、みわ。
これから先の人生の方が長いんだから、そんなんじゃもたないっスよ?」



これから、先。
その言葉には、現実味がない。

この人と、まだ一緒に居られる?


私には、この人との未来があるの?




「……涼太、ごめんなさい。嘘ついて、ごめんなさい」

堰を切ったように、涙と共に溢れてきた。

泣きじゃくる私のおでこに、そっと唇が触れる。

「頼まれたって、もうこの手は離してやんないっスよ。覚悟して」



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