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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第60章 お互いの


「……はぁ…………」

狭いシャワースペースで、両手を前について大きなため息をついた。

情けない事に、下半身は完全臨戦態勢。
勃起してしまっていた。

みわの真剣な目に慎重に触れる手。

興奮する事自体がマネージャーの仕事をしている彼女に対して失礼だということは分かっているのに、触れられると身体は反応してしまう。

「あー、もう……」

「お悩みか、エース」

隣でシャワーを浴びていた中村センパイがこちらを向いた。

センパイはメガネを取ると結構イメージが変わる。

「恋に部活にと忙しそうだな、羨ましい」

デカくなった下半身を見られたかと一瞬焦ったが、中村センパイはそれだけ言い残してさっさと去ってしまった。

色々悩む事ばかりっス。センパイ……。

……全く違う事を考えてなんとか暴走を鎮め、シャワールームを出た。

部室に戻ると、鞄とコートを持って処置室に入るみわの後ろ姿が見えた。

どうやら今日は終わったら部室にも体育館にも寄らず、そのまま帰ろうとしているらしい。

オレは終わったら着替えなくてはならないので、ジャージ姿で処置室へ入った。




処置室では既に暖房がつけられ、ベッドには柔らかい布が敷かれている。

「あ、お疲れさま。どうぞ」

ノートに何かを記入をしていたみわは、今度は目を合わせることなくオレを誘導する。

結構露骨な避け具合だ。

「疲れてるのに悪いっスね」

簡易ベッドに上がると、ギシリと軋んだ。
その音が静かな処置室に響き、やたらと卑猥な気持ちになった。

ひたすら、違う事を考えよう。

円周率とかを考えているといいと聞いた事があったが、そもそもそんなに長く円周率を覚えているわけがないオレは二秒で終わった。

九九だ。もう九九しかない。

「じゃあ、始めるね」

いつものトーンのみわの声。
緊張しているのはどうやらオレだけらしい。

足に全神経を集中させて、おかしな方向に欲望が顔を出さないように構えた。

1×1=1……



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