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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第60章 お互いの


うん、こんな時は勉強しよう。
唯一どんな時でも集中できるものだ。

教科書と参考書、ノートを開いて。
さ、集中。

……

…………

いつも、どんな時でも、集中できた。
だから勉強って好きなんだ。

……なのに。

目の前が見えなくなってきた。
まるで、水泳のゴーグルに水を張ったみたいに。

「………………うっ……」

ボタボタと、次から次へと涙が流れてくる。

訳も分からず流れる涙を、制御できない。

寒い。

こたつなんかよりもずっと熱い、涼太の熱。
欲しくて欲しくて、寂しい。

バスルームで、リビングで、ベッドで、散々愛し合った。
もう、触れ合える事は、ないんだ。

寂しい。

寂しい。

寂しい……。




なんて、寂しい人間なんだろう。

結局私には、なぁんにもない。
貰ってばかりで、それがなくなったら空っぽだ。



自分を大切に……



自分の価値が、見出せない。



お父さん。

今、どこにいるの?
会いたい。

教えて。
お父さんはどうして私のことを愛してくれたの?



…………

だめだめ。
そんな事考えたって、分かるわけないし。

余計な事を考え始めたら、気分変えなきゃ。
落ち込むばっかりで、いいことないし。
寝よう。

こたつも眠気を誘ってくれるし。

寝よう。





あ、携帯鞄に入れっぱなし。

でも、いいや。
明日見れば。



もう今は、何も考えたくない……。



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